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妊娠中のトレーニングの理想と現実

SBDコラムニストの福島です。
現在私は来年2024年1月に出産を控え、細々とトレーニングを継続させながら活動しています。
今回は妊娠中に感じたことを共有していきたいと思います。
妊娠中の方、いつか妊娠をしたいと思っている方、妊娠をする予定はないけれど近くに妊婦がいる女性や男性にも、何か気付きがあれば嬉しいです。

目次
1. 妊娠から現在
2. 2児の母SBDコラムニスト福田彩さんの紹介
3. 現時点で感じる壁:トレーニング環境の重要性
4. 今後について

1.妊娠から現在

これを執筆している9月末現在、妊娠24週(7ヶ月)に入りました。
妊娠がわかったのは5月末。
3月の半ばにジャパンクラシックパワーリフティング選手権大会で優勝し、パワーリフティング競技も一旦お休みしてもいいかなと思うことができ、本格的に妊娠を考えました。

妊娠がわかった後も7月末にウェイトリフティングの国体予選出場を目標としていたため、ウェイトリフティングの練習を中心に、体調が問題ないうちはできる限り同じトレーニングを続けていました。

しかし、高重量を持つようになると下腹部に生理痛のような鈍痛が出始め、これはもう潮時かと試合に向けたトレーニングを中止しました。
妊娠11週(3ヶ月)のことでした。

欲しいと思ったタイミングで赤ちゃんを授かれるのは奇跡です。
私自身、自分が出たい試合のことも考慮しつつ、静岡に移り住んだタイミングで子どもは考えていましたが、実際の妊娠までは1年半ほどかかりました。

妊娠期

つわりに関して
妊娠3ヶ月頃は食欲がなくなり2kgほど体重が減少しました。
よく聞くニオイがダメになるということありませんでした。
全体的に食べられないものはなかったのですが、まったくもって食欲がわかずゼリーやスープなど喉越しの良いものをよく食べていました。

妊娠中のトレーニングに関して
妊娠を意識したときから産前産後のトレーニングに関する勉強を始め、自分ができる範囲内の安全なトレーニングを継続しておこなっています。
実際のトレーニングに関しては、日本臨床スポーツ医学会産婦人科部会から出ている妊婦スポーツの安全管理基準(2019)等や、海外の指針等もまたコラムでご紹介できればと思います。

2.2児の母SBDコラムニスト福田彩さんの紹介

妊娠中のトレーニングに関しては以前からB.T.S.Lフィットネス所属SBDコラムニストの福田彩さんが書かれています。

競技女子から競技ママになるまで(妊娠編)

競技女子から競技ママになるまで(出産編)

産後から全国大会出場への道のり(標準記録取得編)

産後からの全国大会出場への道のり(全国大会出場編)

妊娠中も妊娠後も楽しくトレーニングを継続されていることがよくわかります。
私もこのコラムを読んでトレーニングに対して前向きな気持ちを持つことができ、妊娠中も不安なくトレーニングに取り組む事ができています。
彩さんらしい言葉でつづられているコラム、ぜひ読んでみてください。

妊娠中のトレーニングについて、彩さんとStrengthGym TokyoBayの渋谷優輝選手の奥様、美樹さんに相談させてもらったこともありました。
知識をつけたといっても実際のトレーニングは不安な面も多かったので楽しく色々お話をさせてもらい、実際の状況について色々伺いました。
今でも相談に乗ってもらうことも多く、身近にこういった先輩ママリフターがいてくださるだけで励みになります。

女性パワーリフティング選手の中にはお子さんをお持ちの方も多く存在しています。
そういった方々の活躍は妊娠を考えている女性アスリートや、私のように産後に不安をもつ女性に多くの勇気を与えてくれているのではないでしょうか。
選手本人は特に子どもについて言及することなく、お子さんをお持ちだったと知らなかったことも多いです。
子どもがいるのにすごい!ではなく、当たり前のその人の自身の努力で活躍されている姿は素敵だなと感じています。

3.妊婦トレーニングで感じる壁・トレーニング環境の重要性

現在FTGYMでトレーニングを継続していますが、会員様の多くが様子を聞いてくださり、温かく見守ってくれているのがよくわかります。
ただ、妊娠中にトレーニングをするという文化が日本で根付いていないせいなのか、妊娠したらトレーニングをしてはいけない・危ないものであるという認識をお持ちの方もいるようです。
心配をして「無理をしないでね」から始まり「やめた方がいい」という言葉をよくかけてくださいます。
もちろんその妊婦さんの状態によってそもそも運動ができるかどうかは変わってきますが、基本的に妊娠中の運動は良い効果が認められています。

しかし、大手フィットネスクラブでは妊娠している方は入会できず、妊娠をした際には休会せざるを得ない場合が多いのが現状です。
そもそも出産のために体力をつけなくてはいけないはずです。
体重が増えすぎてしまったからドクターから運動をしてくださいと言われている妊婦さんもいるはずなのにも関わらず、健康を支える場所であるフィットネスクラブではその門を閉ざしてしまうのはなぜでしょうか。

やはり何かあった際に『責任が持てない』という面が強いのではないかと私は考えます。
妊娠は病気ではないですが、運動(スポーツ)と関係なく早産や流産のリスクが少なからずあるのは避けられない事実です。

思い返してみれば、私や私の周りでも産前産後にジムでトレーニングをしているママパワーリフターの方々はジム経営をされているオーナー関係者(奥様)ばかり。
ジムが責任を追及されるリスクはほぼありません。
そういった環境でのトレーニングは自身が自由に使いやすいのはもちろん、アットホームなところが多く、会員様の理解を得やすいからこそ実現できているのかもしれません。
また、産後には子どもを見ていてくれるオーナーや会員様達に支えられているように思います。

ちなみに、FTGYMではお子さんを連れてきてのトレーニングに制限をしていません。
お父さんやお母さんがトレーニングをしている間、ソファでゲームをしているお子さんも時々来てくれます。
託児という形を導入していくのはまだまだハードルが高いですが、お子さんを見守ってくれている多くの暖かい会員様の存在で支えられています。
強くなるだけではない、かっこいい体を作るだけではない、自分の生きがいを大切にしていけるコミュニティの形をFTGYMで作るのが私の理想です。

4.今後について

本格的な競技復帰はまだまだ先になりそうです。
しかし、人生は結果を追い求める以外にも豊かにできるということを、結婚をして、家族を持つようになりより強く感じています。
長い人生、おばあちゃんになっても取り組むことができる生涯スポーツ、パワーリフティングに出会えたことは私にとって非常に幸運なことです。

今後は自身の経験だけでなく、妊婦スポーツの指針等に基づいて安全な産前産後トレーニング知識をもっと多くの方に広めていきたいと思っています。
運動をしてもいいんだという認識が普及することで、トレーニングをしたい女性の窓口が広がれば嬉しいです。
こちらのコラムで定期的に書いていきたいと思いますので、長い目でお待ちいただければ幸いです。

◆コラム執筆者

福島未里(ふくしまみさと)
静岡県富士市FTGYM所属
FTGYM(https://ft-gym.com/)

ベスト記録
パワーリフティング(ノーギア)
SQ130kg
BP110kg(一般女子57kg級日本記録)
DL165kg
TL405kg(一般女子57kg級日本記録)
シングルベンチ(ノーギア)
112.5kg
ウェイトリフティング
スナッチ70kg
クリーン&ジャーク95kg

2013年度
アジアベンチプレス選手権大会(フルギア) ジュニア57㎏級1位
2014年度
世界ベンチプレス選手権大会ジュニア57㎏級(フルギア)2位
2017年度
ジャパンクラシックベンチプレス選手権大会 一般女子57㎏級1位
2018年度
ジャパンクラシックベンチプレス選手権大会 一般女子57kg級1位
2019年度
世界ベンチプレス選手権大会 一般女子57kg級 5位
ジャパンクラシックパワーリフティング選手権大会 一般女子57kg級1位
ジャパンクラシックベンチプレス選手権大会 一般女子63kg級1位
2021年度
ジャパンクラシックベンチプレス選手権大会 一般女子57kg級2位

保有資格
日本スポーツ協会認定アスレティックトレーナー
NSCA公認CSCS
健康運動指導士
柔道整復師

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