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競技女子から競技ママになるまで(妊娠編)

読者の皆様、こちらのコラムに足を運んで頂きありがとうございます。
SBDコラムニストの福田彩です。

約一年半程、SBDコラムをお休みしていました。
その期間に赤ちゃんを授かりまして女の子を無事に出産育児してまいりました。
色々配慮していただいたSBD様には感謝でいっぱいです。ありがとうございます。

おかげさまで元気にスクスク成長した娘は1歳になり、「スクワット!」、「イチニ、イチニ」と掛け声をかけるとスクワットしたり、ダンベルやベンチ台を遊具として遊んだり、私娘共々皆さまの温かい優しさに包まれながら楽しくトレーニングすることができています。

今回はこのお休み期間に経験した妊娠中のお話をご紹介したいと思います。

妊娠中の体調管理

妊娠中は体重が増加しすぎると、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病などがあり、体重が増加しなくても、低出生体重児や早産のリスクなどがあると言われているので、体重増加量は、BMI(身長と体重から算出される肥満や低体重(やせ)の測定に用いられる指標)を目安として体重増加指標を基に算出して体重管理をしていました。

私はBMIが22なので、7~12kgの範囲になります。

※今回は2020年に妊娠出産したので、2006年に策定されたものを用いましたが、2021年3月に新たに「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針」 として15年ぶりに改定されています。

つわりが吐きづわり(特定のものしか食べられなかったり、食べると嘔吐してしまう)や食べつわり(常に食べていないと気持ち悪い)によっても体重増加は変わってきます。

まとめ

つわりが終わると試合の減量後の様に、予想をはるかに超えてくる食欲や、つわりの解放感で気づいたらたくさん食べていて体重が飛び跳ねるように増加したり、妊娠後期になると何も食べなくても体重が増えるという例えを聞くくらい赤ちゃん自身が大きくなりビックリするくらい体重が増加したり、お腹が大きくなって胃が圧迫されて食べたいけど気持ち悪いという状況に陥ったり、体の変化のすごさと順応していく自分にも驚きました。

結果、スタート体重からは50.4→59kgの8kg増加、今回のつわりで体重がすこしへ減ったので最低体重からは48.0→59.0kgの11kgの増加でした。

赤ちゃんは3124gとしっかり成長し元気に母子共に元気に出産できたので、色々とありましたが体重管理はまずまず良かったのかなと思います。
 

栄養

妊娠前は競技向上+強くあるため以外にも自分自身引き締まった身体で在りたいという気持ちがあったので、脂質を制限していたのですが、今回は赤ちゃんが心地よい体をイメージして心も体もより女性らしい丸みのある体を作ることでした。

ポイント

・妊娠後は妊娠前と比べると様々なたんぱく質を摂取し、自然と脂質が増える形にしました。

・妊娠初期はつわりがあり食べられるものが限られていたのでその時はPFCは気にせず食べられるものを食べれるだけにしました。

この時食べれたのがその日にもよりますが、麺類(特にそば)、つけもの(特にたくあん)でした。

PFCを考えるとひどすぎますが、たんぱく質を食べようとすると気持ち悪くなり食べれないので、まずは食べれることを優先していました。

初期中期後期で必要摂取カロリーが変化するので、PFC全体的に栄養素が増える様な食事管理で
・妊娠中に特に必要な鉄分、葉酸、カルシウムを積極的に摂取することを心掛けました。
・妊娠中は便秘になりがちなので食物繊維(特に水溶性食物繊維)、発酵食品、水分を多くとるようにしました。

・今まで摂取していたサプリメント(BCAA、クレアチン、マルチビタミンミネラル)の摂取は一旦お休みし、妊娠期別(初期、中期、後期)で特に必要な栄養素が入っているマルチビタミンミネラルを摂取していました。

・からだに優しい食事も大切で大好きなのですが、何も考えず赴くままに食べたり、作っていただいた料理、お店の雰囲気、好きな人と一緒に食事をすることも、心の栄養としてとっても大切と感じているので、外食やお菓子なども色々食べました。

まとめ

今まで競技やスポーツを通じて、食事は自分の体や心をつくっていることを痛感し食事と向き合ってきましたが、今回の妊娠期間で改めて食事の大切さを感じた事、そして妊娠は自分と見つめあうチャンスでもあるかもしれないということも感じました。

メンテナンス

接骨院に週一回、初期は首回りだけ、中期・後期は横向きになり肩甲骨回り、股関節回りをほぐしてもらっていました。

毎晩ストレッチ、特に股関節回りは入念に行い、体重が増えてくると皮膚が伸びそのままにしておくとひび割れの様な妊娠線ができやすいのでマッサージも兼ねて、ボディクリームで全身を、特にバスト、お腹、腰、背中、臀部、太ももはボリュームアップするので入念に行いました。

からだのメンテナンス以外にも、妊娠中はホルモンバランスの変化が大きいので、生理前のように自分が意図していないのに情緒不安定になりがちで、急に涙がこみ上げたりしてよく泣いたりしていました。

私の場合は泣くとデトックスになるのでおもむくままで泣いてその日は顔がむくんで結構ショックで落ち込みますが、翌日はかなりスッキリしていたり、その他にも自分が癒されるトレーニング、お風呂の時間も大切にしました。

運動

パワーリフティングや筋力トレーニングが大好きなのと、これらが私にとって心身ともにバランスを整えてくれる1つでもあるので、妊娠前とは強度も頻度なども大きく変わりましたが、出来る範囲で行いました。

自分自身がまず笑顔で健康である事は赤ちゃんにとっても楽しく心地よい環境を与えるのではないかと感じていることも行う理由の1つです。

ポイント

妊娠周期によって体調も体も変化していくので、初期・中期・後期とトレーニングのポイントを変えながら行っていきました。

◎初期(0週〜16週)
つわりにより体調もあまりすぐれなかったので緩和に努めて、リフレッシュ程度の軽い運動やストレッチがメインでした。

◎中期(16週〜28週)
安定期といわれる時期で、ある程度動いても問題ない時期ということで筋肉量の低下を防ぐといった運動をしていました。

・運動強度は55-60%(会話しながら呼吸ができる程度)
・回数でいうと12-15repで程よくきつい程度で
・時間は1時間程度、頻度は週3回~4回
・有酸素運動はできる日があればおこなっていました。
・おなかが大きくなってくるとバランスをとるのが難しいので、手すりやベンチ台、椅子を使って安定感がでる方法や、チューブやマシンを活用しました。
・パワーリフティングでは腹圧をかけることを大切にしていますが妊娠中は腹圧をかけないようにトレーニング中はしっかり呼吸を意識することにしました。

例えばですが、脚のトレーニングであれば、
●スクワット12rep×3set
●ブルガリアンスクワット12rep×3set
●ルーマニアンデッドリフト12rep×3set
●チューブアブダクション12rep×3set
というような感じで行っていました。

※一番は心地よいと感じることが大切だと思うので、体調がすぐれないときは無理しないで休むこと

◎後期(28週〜)
中期のときと同じくトレーニングや有酸素運動を行っていましたがお腹が大きくなってきて体が重かったりするので、重量も軽くしたり有酸素も無理ない範囲でゆっくり行っていきました。

分娩の準備をする時期なので並行して股関節まわりをほぐす運動を多く取り入れていきました。

正産期に入ってからは赤ちゃんが出やすくなるということで、先生からもどんどん運動してとお話もいただいていたので、毎日のようにウォーキングや股関節を多く動かすスクワットを軽い重量で行っていました。

まとめ

妊娠高血圧症候群など特に問題もなく、子宮も張ることはなく定期健診でも先生に子宮が毎回柔らかいとお話しいただいてました。

心身が共に健康であったことや笑顔の多い妊娠生活だったこと、実際経験してみて上記以外にも運動は妊娠中の運動面、機能面、精神面、の3点からもメリットが多いと思いました。

大会前は競技にフォーカスしすぎないためと単純に大好きなのでお笑いを観たり、減量での食欲を満たすために美味しく食べてくれる方々の動画を見ているのですが、妊娠中のつわり時は運動がリフレッシュ程度で仕事以外はほぼ横になっていて何もしないと気持ち悪さにフォーカスしてとってもつらくなったので、この時も気持ち悪さにフォーカスしないようにお笑いの動画をみたり、つわりで食べたいけど食べれないつらい気持ちを、美味しく食べてくれる方々の動画をみたりしてその日その日を乗り越えていました。

いつもトレーニングに助けてもらっていることが多かった日々だったので、運動以外にも自分が癒されるものがあるのは大切だなと改めて感じました。

さいごに

私自身が運動・食事・メンテナンスを行っているときに心地よくいたり、頭を空っぽにしているときはお腹が張りづらい傾向にありました。

その逆で、不安や心配が大きくなってくるとお腹が張ってきたりすることが多かったです。

人間なのでどうしても不安や心配が出てくるのですが、不安・心配を出さないと頑張るというよりかはその気持ちも自分自身は受け入れて、赤ちゃんには『苦しい気持ちにさせていたらごめんね』『生きるということはいろいろな気持ちにを経験する場所ことなんだよ。』『産まれてからも一緒に経験していこうね。』『ありがとうね。』などお腹の中にいるときからコミュニケーションをとっていました。

コミュニケーションをとると自分自身も楽になったり、お腹の張りがなくなったり、きっと赤ちゃんはお腹にいるときから自分の意思がありすべてを理解しているのではないかな?と。

このような経験からも、頭で考えて行動すること(食事運動メンテナンス)も大切ですが、頭で考えず直感を大切にすること(自分自身との対話=赤ちゃん)が妊娠中も競技でも生活でも全てにおいてこの2点のバランスは大切だなと感じました。

◆コラム執筆者

福田 彩
埼玉県ストロングライン所属
B.T.S.L FITNESS

ベスト記録(ノーギア)
・スクワット 102.5kg
・ベンチプレス 82.5kg
・デッドリフト 137.5kg
・シングルベンチプレス 82.5kg

戦歴
【2017年】
さいたま市パワーリフティング選手権大会 47kg級1位
ジャパンクラシックベンチプレス選手権大会 47kg級1位
【2018年】
ジャパンクラシックパワーリフティング選手権大会 47kg級2位
世界クラシックベンチプレス選手権大会 47kg級5位
世界クラシックパワーリフティング選手権大会 47kg級9位
【2019年】
ジャパンクラシックパワーリフティング選手権大会 47kg級2位
アジアパシフィック大会パワーリフティング部門 47kg級2位
世界クラシックパワーリフティング選手権大会 47kg級9位
【2020年】
ジャパンクラシックパワーリフティング選手権大会 47kg級3位

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