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ジャパンクラシックベンチプレス選手権大会に向けて【大会編】

読者の皆様、こちらのコラムに足を運んで頂きありがとうございます。SBDコラムニストの福村彩です。

私事ですが、2020年1月25日~26日三重県津市で開催された、第20回ジャパンクラシックベンチプレス選手権大会以下「JCB」)へ出場させていただきました。

前回から2回にわけてこちらの大会出場までの気持ちや過程をご紹介していきます。

1.ジャパンクラシックベンチプレス選手権大会に向けて【準備編】(前回)
2.ジャパンクラシックベンチプレス選手権大会に向けて【大会編】(今回はこちら)

大会3週間前

昨年の世界クラシックベンチプレス選手権大会は出場できなかったので、今年の世界ベンチプレス選手権大会には出場したいという気持ちもあり、ジャパンクラシックベンチプレス選手権大会では1位になって世界大会へ行きたいと思いました。

現状として、練習自己ベストが80kgという状態でした。その現状と気持ちでエントリーを見た時、エントリー時点では4位でした。憧れの選手の皆様と一緒に試合を出来る感動と、やるからには本気で戦いたいので勝つためには今以上に練習しなければという気持ちが沸き上がりました。

その一方で、その欲が強すぎると普段でも冷静でないのに、更に冷静さがなくなった行動や判断になりそうなので、気持ちに舞い上がりすぎないでよ~と助言している自分がいました。

この気持ちが入り混じりながら数日経過し、ふとした瞬間に、気持ちだけ頑張っても体がついていけなくて無理してしまうので、毎日の練習で今やれることをするしかないという思いが心にスーと入ったので、これが今の自分の答えなんだなぁと迷いがなくなりました。

大会2週間前

この時は順位を気にしていなかったのか、数字を気にしない様、今に集中する様に心掛けていたのか、その気持ちは曖昧ですが、自己ベストを出しながらも確実に重量を取っていく重量選択の上で練習していました。もし順位をとるにしても私には上位の選手の皆様と戦えるだけの余裕はないので、これしか方法はないと思っていました。

重量選択の設定方法としては、
『 自分の出来るMAX重量を手堅くとることが勝利への一番の近道 』というテーマのもと、次のように考えています。
・女子は2.5kgの重量差でも重く感じるため、重量幅は2.5~5.0kgが体の感覚的にもメンタル的にもよい
・失敗した時のリスクも軽減しながらしっかりMAX重量をとる重量
・試合で自分の気持ちを上げていき行動にエネルギーを持たせていく重量

これらを考慮すると、

第1試技:第2試技から逆算して-5.0kg
第2試技:第3試技から逆算して-2.5kg
第3試技:MAX重量 あわよくばMAX重量から+2.5kg

このように考えています。

重量MAXが80.0kgの場合は次のようになります。
第1試技:72.5kg
第2試技:77.5kg
第3試技:80.0kg、 
※もし第2試技が軽ければ82.5kgいってみようという設定になります。

例えば重量MAXが80.0kgで2.5kg刻みの重量設定の場合
第1試技:75.0kg
第2試技:77.5kg
第3試技:80.0kg(第2試技が軽ければ82.5kg)
これだと第1試技から攻めた重量で気持ちが焦り第1試技から失敗する可能性が高くなるのと、その日のコンディショニングを把握しながら手堅くいく重量設定が出来ません。

次に上記と同じく重量MAXが80.0kgで5.0kg刻みの重量設定の場合
第1試技:70.0kg
第2試技:75.0kg
第33試技:80.0kg(第2試技が軽ければ82.5kg)
この場合は第1試技は余裕があるので気持ちにもゆとりがあり成功率も高くなり良いのですが、第2試技と第3試技の重量差があるため、もし第3試技を失敗した時は結果の重量が低くなります。また第2試技が軽かったときに第3試技で82.5kgにすると重量幅が7.5kgと大きくなり成功率が下がるため、82.5kgを選択することはほぼないと思うので、この設定もないと考えます。

性別やMAX重量によっても多少変わってくるかもしれませんが、この重量設定がテーマにはハマっている重量選択なのかなと思っています。

3週間前までは第1試技70kg、第2試技75kg、第3試技77.5kg で、あわよくば 80kgでいけるように練習をしていました。
この時期にはコンスタントに第3試技で80kgの選択を出来るくらいに安定してきていたので、

2週間前からは、第1試技72.5kg、第2試技77.5kgをしっかり出来る様にしておき、第2試技の上りで渋ければ+2.5kgの80kg、軽く感じるのであれば+5kgの82.5kg、を選択できる練習をしました。

この練習で第2試技の77.5kgの上がりが確実でないのであれば、
元の第1試技70kg、第2試技 75kg、第3試技77.5kgか 80kgの重量設定に戻すことは問題ないので練習する価値はあると思いました。

大会1週間前

5日前に最後の練習として、72.5kg、77.5kg、80kgまで持ち、82.5kgも挑戦しましたが失敗しました。
その後の残りの日数も軽く練習しようと思いましたが、2週間前から手首と腰の痛みがあったので練習より今はケアに専念した方が良いと思い最終練習の5日前が最終練習になりました。

大会前日

昼頃から新幹線に乗り三重県津市へ向かいました。
新幹線で綺麗な景色を見ました。大会の道中で普段感じないものを感じれることも大会の好きなところです。

大会会場は津駅のすぐ近くなので宿泊先も駅近くに宿泊しました。
温泉やサウナもあり、大好きな温泉で癒しをもらえるのと、もし体重が危うい時はサウナにも入れるという安心感があるのはとても嬉しかったのです。この日は眠かったので早めに就寝しました。

大会当日

(検量)
15分前に会場に出て、まずユニフォームチェック、それから検量をしました。

(検量後)
検量から試合までが2時間なので素早くリカバリー出来る事として経口補水液とBCAAを飲みながら、エネルギーゼリー、バナナ1本、おにぎり1~2個、お腹がちょっといっぱいかな?くらいにしました。

(アップ)
試合開始1時間前からストレッチを初めて、30分前からシャフトを持ち始める感じで、20kg-40kg-50kg-60kg-65kgのアップを試合開始時間と自分の試技順番を見合わせながら、アップを進めていく感じです。

アップを開始したのですが、フォームを組んだ時点で腰と手首の痛みが治まっていませんでした。ここまできたら痛みがあってもやりきるしかないのですが、いつも感じているフォームでないので不安がよぎりました。

不安を解消したくて、セコンドに大丈夫ですかと何回も聞いている自分がいました。大丈夫じゃなくても大丈夫と言ってもらって安心したくて必死だったのだと思います。不安になっている自分が見え隠れしていました。

この不安で緊張してしまい、すぐ顔に出るのでその緊張が顔に出ていたのでしょう。
緊張しているよぉ。と声をかけて頂いた時に、はっ!!私緊張している!!と気づきました。本当に助かりました。その瞬間に、手首と腰が痛くて普段と違うけど、まぁいいかと吹っ切れました。

(試合)

第1試技 72.5kg


第1試技はいつもとても緊張しますが、緊張している自分を見ていたので、落ち着いて出来た気がします。失格がなくなった事で第一段階の緊張は抜けました。

第2試技 77.5kg


第1試技の成功と上りが軽い事が重なり、練習どおりにすれば大丈夫という安心もあったので、緊張はしていますが不安のない試技でした。

第3試技 82.5kg


3位に入るなら82.5kg、自己ベストを狙って手堅くいきたいのであれば80.0kgという選択でした。
今回は82.5kgに挑戦しても良いくらい77.5kgの上りが軽かったので挑戦する価値があると思ったのと、失敗してもいいのでやってみたいという気持ちが沸き上がってきたので82.5kgの選択にしました。

世界大会に行きたい、絶対出来るや気合いを入れるというより、ブレない自分自身への大丈夫と、フォームのみという感覚でした。
ボトムですごいブレてるなと思いましたがボトムで駄目だという感覚がなかったので上げ切ればいけると思いました。

無事上がったので終わった後、思わず笑みがこぼれました。

考察

私の場合ベンチでも日常でもあまり思いに執着しすぎると空回りするのかもしれないと思いました。
人間なので中々難しいですが、その思いは一度天に手放して、今自分が出来る事を淡々と楽しくやっていると物質的にも意識的にもスペースが出来、全てにおいてスムーズに流れる感じがしました。

最終試技は普段であれば本当に大丈夫という確信がないと挑戦しなかったので、最後の試技で挑戦してみたいという思いが沸き上がってきた事が私の中ではとても印象的でした。結果を出すというより、今の自分を試してみたいという気持ちが強かったのかもしれません。

さいごに

大会を振り返ると、大会中お話したり声援を頂いたり、会場以外でもお声をかけて頂いたり、大会を通じて皆様の優しさを感じれて嬉しいです。
そして自分は出来ない事が沢山あり皆様に助けてもらって生きているのだなと思いました。ありがとうございます。

■コラム執筆者

福村 彩
埼玉県ストロングライン所属
B.T.S.L FITNESS

ベスト記録(ノーギア)
・スクワット 102.5kg
・ベンチプレス 82.5kg
・デッドリフト 137.5kg
・シングルベンチプレス 82.5kg

戦歴
【2017年】
さいたま市パワーリフティング選手権大会一般47kg級1位
ジャパンクラシックベンチプレス大会一般47kg級1位
【2018年】
ジャパンクラシックパワーリフティング大会一般47kg級2位
世界クラシックベンチプレス大会一般47kg級5位
世界クラシックパワーリフティング一般47kg級9位
【2019年】
ジャパンクラシックパワーリフティング大会一般47kg級2位
アジアパシフィック大会パワーリフティング部門一般47kg級2位
世界クラシックパワーリフティング一般47kg級9位
【2020年】
ジャパンクラシックパワーリフティング選手権大会一般47kg級3位

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