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BIG3トレーニングキャンプに参加した感想

皆さまはじめまして。
今回からSBDコラムを書かせていただきます、福島未里です。様々なご縁があり、このような場をいただきましたことを嬉しく思います。

【自己紹介】
出身は静岡県静岡市で、高校卒業までのスポーツは剣道。現在は、静岡県富士市にあるFTGYM(エフティージム)でトレーニングの指導などを行っています。2022年3月末まで全日本女子柔道のトレーニング担当スタッフとして活動しておりましたが、東京オリンピック終了に伴い、夫が住む現在の地に移住しました。

パワーリフティングに関しては、一般57kg以下級でベンチプレス(110kg)とトータル(405kg)、一般63kg以下級でシングルベンチプレス(110kg)の日本記録を保持しています。ウェイトリフティングもパワーリフティングと並行して嗜んでいます。

【トレーニングキャンプ参加に至るまで】
さて、タイトルにもありますように最初のテーマは「トレーニングキャンプに参加した感想」です。
このコラムを見ている皆さまであれば、一度はSNS上で見たことがあったのではないでしょうか。そう、MBC POWERさんが主催する、鈴木佑輔さん・渋谷優輝さん・栗原弘教さんのビッグネーム3人が一緒に講師を務める一泊二日の豪華なセミナーです。今回は個人的な感想になりますが、参加して感じたことを皆さまに共有したいと思います。

いきなりですが、まず参加するまでのハードルが結構高いことが判明します。(個人的な感想です)
まず一つ目は、参加費が通常価格99,000円ということです。正直、初めにここで断念する方がも多いかと思います。ひとまずこれは通常価格です。この金額から3週間前までに申込みすることで11,000円の割引とノートリアスリフトのデッドリフトシューズ(10,000円相当)、オリジナルTシャツ、講師陣のパーソナル割引チケットがプレゼントとして追加されます。実質21,000円以上を割り引かれる形です。それにしても88,000円の参加費は、ちょっとドキドキなお値段でした。実際は、この講師陣のパーソナルを受けようとすると、大体1時間15,000円前後かかりますし、交通費もそれぞれかかりますので、参加費分の価値は間違いなくあります。後述しますが、今回はパーソナルでは得ることができない経験もでき、非常にお得なトレーニングキャンプだったと思います。
二つ目は、開催地が長野県上田市菅平ということです。東京近郊じゃないの!?が素直な感想でした。私が住む静岡県から公共交通機関で行くには、まず、東京まで行き、そこから北陸新幹線で向かうことになります。これでは前泊しないと開催時間には間に合いません。最終的に普段近所の移動で使っている年季の入った軽自動車で約4時間かけてやっとの思いで辿り着くことができました。

【参加を決めた大きな理由】
自分のパフォーマンスアップのためはもちろん、やはりパワーリフティングをもう一度学び直したかったからというのが一番の理由です。
2011年東京都ベンチプレス大会でシングルベンチプレスデビュー、2018年4月の静岡県パワーリフティング大会でパワーリフティングデビューし、コツコツやってきました。しかし、仕事の関係上、決まったトレーニングプログラムが組みづらく、正直、自分のポテンシャルのみでここまできたと言っても過言ではありません。
自身の記録も伸びづらくなってきたということも参加の大きな理由ではありますが、静岡県に移住し「筋トレ」ではなく「パワーリフティング」を指導する機会が徐々に増えてきたことから、自分のことだけで良いとは言っていられず、「パワーリフティング」について多くの方に指導してきた先人から学ぶことが必要だと思い参加を決めました。

講師の皆さま。デカい。

【トレーニングキャンプの内容】
 実際の様子は講師でもあり、SBDコラムニストの栗原弘教さんのブログをご覧ください。

日本初開催!Big3トレーニングキャンプレポート
前編 https://mastermind85.com/ap-tc2022/
後編 https://mastermind85.com/ap2-tc2022/ 
Training-studio“Master Mind”HPより

【感想】
HP上では「トレーニングを始めたばかりの初級者から基本を学び直したい上級者まで幅広いレベルを対象にしています。」と謳っていましたが、トレーニングキャンプがスタートした前半は正直トレーニングを始めたばかりの人にはレベルが少し高いのではないかと感じていました。
その理由は
 ① 解剖学的用語やトレーニング専門用語が多く出てくるので、説明はあるものの聞き慣れていない人には理解するのに時間がかかる
 ② ボリューム満点の内容であったので、噛み砕いて考えている間に次の話題へ行ってしまう

私もある程度、解剖学は理解しているつもりでしたが、自分の感覚とセミナーの内容を頭の中でつなげている間にまた新しい情報が入ってくるという状況でした。
しかし、
 ① 少人数制で講師とのコミュニケーションがとりやすい
 ② 座学も十分に質問時間が確保されており、講義時間終了後も気軽に講師に質問ができる
 ③ 実技時の十分なサポート体制
という3点により、初心者でも分かりやすい内容になっていました。

特に感動したのは、③の実技時のサポート体制についてです。
例えば、渋谷さんのスクワットに関する実技指導時に鈴木さん、栗原さんも各受講者に対して、渋谷さんと同じ指導をしてくださいました。講師3名が全ての人を同じように指導することができるというのは、入念な準備・情報共有がなければできません。せっかくの実技指導を受けられる機会なのに自分はあまり指導してもらえなかった…、という実技セミナーあるあるを全く感じることがありませんでした。

メイン講師以外の2人もサポートしてくれている様子。自ら声をかけられない恥ずかしがり屋も問題なし。

細かい内容に関しては言及できませんが、個人的には講師の方々が教えてくださる内容が理論的な話であることが非常によかったです。自分の感覚を伝えるのではなく、なぜそう考えるのか、なぜそのようなフォームになるのかを座学できちんと説明していただいた上で実技に移る。この理論的な座学を経ることで実技の理解度が一気に増しました。
素晴らしい選手は数多くいますが、その感覚を細かく分析して一般の方々へわかりやすく伝えることができるという人は少ないのではないでしょうか。そして、理論がきちんとしているからこそ、色んな方にも応用できる。そう言う意味でやはり初心者でもOKであり、指導を生業をしている人が参加しても自分の仕事に活用することができるのだと感じました。

各日の講座終了後は、講師も含めた合同トレーニングセッション(?)の時間が設けられました。
講師に見てもらいながら、その日に学んだことを復習でき、参加者同士のコミュニケーションの場にもなりました。自分のフォームだけではなく、講師が他の参加者のフォームを指導するポイントを見ることができる機会は中々ありません。そういったことも、このトレーニングキャンプならではでしょう。
ただ、この時間はあっという間に過ぎてしまいました。またこのような機会があるのであれば、もっとたっぷり時間をいただけると嬉しいです。

渋谷さんに直接指導してもらう様子。担ぐ感覚が軽くなった瞬間は快感だった。
デッドリフトに活用できる補助種目を栗原さんに紹介してもらう様子。種目紹介だけでなく、しっかりと追い込まれた。

また、セミナーが終了した数日後に、セミナー動画を確認できるURLが共有されました。その動画を見直すことで、自分が書いた謎のメモや実技での細かな疑問点も今一度理解することができます。アフターフォローまできちんとされていて感動しました。

鈴木さんが実技の様子をしっかりと動画におさめていてくれている。腕が太すぎてビデオカメラが小さく見える。

最後に

新しいことを取り入れようとするといつもの感覚を崩すことになり、うまくいかないことも多いのではないでしょうか。現在セミナーで学んだことを取り入れながら練習をしていますが、その時は「なるほど」と思っても実際に試してみるとどうしてもうまくいかなかったり、なんか違うかも…と感じた部分もありました。理論的に納得できるものが自分にハマるかどうかは別物だと思います。パワーリフティングという競技で見るとルールに則って行った試技であれば、どんな形であれ成功試技には間違いありません。自分に合うかどうかは実際にやってみないとわからないことも多く、今回のセミナーで学んだことを全て取り組もうとするのではなく、取り入れて練習する中で取捨選択していくべきだと感じました。
指導する側にとっては、色々な考え方や方法を学ぶことで引き出しが多くなり、より多くの方に喜んでいただける機会が増えると考えています。
個人的にセミナーへの参加は、知識を増やすためということは大前提ですが、その方の考え方やトレーニング方法、人間性に触れることも楽しみ方の一つだと思っています。また、新たな出会いも魅力的です。皆さまもバーベルに向かい合うだけではない、パワーリフティングの楽しみ方を見つけてみてはいかがでしょうか?

◆コラム執筆者

福島未里(ふくしまみさと)
静岡県富士市FTGYM所属
FTGYM(https://ft-gym.com/)

ベスト記録
パワーリフティング(ノーギア)
SQ130kg
BP110kg(一般女子57kg級日本記録)
DL165kg
TL405kg(一般女子57kg級日本記録)
シングルベンチ(ノーギア)
112.5kg
ウェイトリフティング
スナッチ70kg
クリーン&ジャーク95kg

2013年度
アジアベンチプレス選手権大会(フルギア) ジュニア57㎏級1位
2014年度
世界ベンチプレス選手権大会ジュニア57㎏級(フルギア)2位
2017年度
ジャパンクラシックベンチプレス選手権大会 一般女子57㎏級1位
2018年度
ジャパンクラシックベンチプレス選手権大会 一般女子57kg級1位
2019年度
世界ベンチプレス選手権大会 一般女子57kg級 5位
ジャパンクラシックパワーリフティング選手権大会 一般女子57kg級1位
ジャパンクラシックベンチプレス選手権大会 一般女子63kg級1位
2021年度
ジャパンクラシックベンチプレス選手権大会 一般女子57kg級2位

保有資格
日本スポーツ協会認定アスレティックトレーナー
NSCA公認CSCS
健康運動指導士
柔道整復師

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