このエントリーをはてなブックマークに追加

How to ストロングマントレーニングシリーズ1

SBDコラムをご覧の皆さんこんにちは!
ストロングマンの中嶋健詞です!

前回は、「普通のジムで出来る!ストロングマン/ウーマン式 big3」と題して、一般的なジムでストロングマン/ウーマン競技に向けてトレーニングを行う場合にオススメな、3種目のストロングマン/ウーマン的特徴とその理由をご紹介させて頂きました!

・フロントスクワット
・オーバーヘッドプレス
・デッドリフト

続いて今回、次回と2回に分けて
ストロングマン/ウーマン競技に取り組む上でより特異的に必要になってくる次の三要素についてトレーニング方法なども合わせて解説していきます!

・体幹/股関節の動的安定性
・握力、上背部の筋力
・コンディショニング/筋パワー

このコラムに興味を持ってご覧になってくださってる皆さまの中には、実際にストロングマントレーニングを行った事がないという状況の方も多くいらっしゃると思います。
より専門的なトピックに触れるにあたって、少しでもイメージしてもらいやすいように心がけますので、今回も宜しくお願い致します!

(今回のメイン)体幹/股関節の動的安定性


▲ヨークキャリー

まず動的安定性とは、文字通り動きの中でいかに安定性を保つか、という事です。
これらを遂行するのに必要な筋力要素全般、神経制御など諸々を含めてここでは動的安定性と表現させて頂きます。

写真のヨークキャリーやファーマーズウォーク、のようなキャリー系(物体を移動させる)の種目は特に、自身の最大出力に近い高重量を保持するという極限状態の中、更に自らが移動することによって発生する両脚ではなく連続で発生する片脚に近い状態での支持、物体自体の揺れの中、物体をコントロールし20〜30m先のゴールラインを目指します。

後ほどご紹介する「握力、上背部の筋力」にも通ずる部分でもありますが、共通する事として、握りやすく重心が身体に近い通常のバーベルを保持する事よりもプラスαのフィジカル/テクニックがストロングマントレーニングには求められるため、そういった要素を鍛える事が出来る、という事です。

ストロングマン/ウーマン競技を攻略するために重要な要素であるのはもちろん、ストレングススポーツだけでなく、コンタクトスポーツ全般を始めとした、様々なスポーツに活かせるトレーニング要素だと思います!

 
では、実際にこの動的安定性を高める上で最も良い方法はいたってシンプルで「キャリー系」のトレーニングを行う事です!

キャリー系トレーニングを行う事により、後ほど解説する「握力、上背部の筋力」、
「コンディショニング(心肺機能)筋パワー」も含め今回ご紹介してるストロングマン/ウーマン競技特有のフィジカル要素を全て鍛える事が出来ます。

重りを持って移動する。

ということは他のどのトレーニング方法、ストレングススポーツにも存在しない動きです。それによって発生する負荷は何にも変えられません。

もしジムの中に、あるいは屋外に出て、重いものと、計20〜40m前後のコースが用意できるならぜひチャレンジを!

上記写真のヨークや、ファーマーズウォークハンドルなど専門的な器具があればもちろんそれを使うのがベストです!

まずは、超代表的キャリー種目2つのメリットをご紹介します!

・ファーマーズウォーク
・ヨークキャリー

ファーマーズウォーク

ストロングマン器具を手に入れたいと思った時に、まず最初に考えたいのがファーマーズウォークです。

ショートバーベルくらいのサイズで、構造もそれにハンドル部をつけただけとシンプルなためヨークなどの大物に比べると比較的安価です。

動的安定性の事を考える際に、物体の重心と支点(保持する位置)の距離と難易度、は比例していきます。

従ってハンドル部があるおかげで、通常のバーベルダンベルよりさらに低い位置で、かつヘックスバーのように体の横で重りを保持するファーマーズウォークは、まずキャリー種目に取り組む上で非常に行いやすい種目です。

手で保持しながら揺れる重さをコントロールするということは文字通り、手先から足先まで鍛える事が出来るという事です。

動きの中で物体を制御するために全身の筋肉が強調し合いながらあます事なく緊張する事になります。

まずはファーマーズウォークで動的安定性の基礎を鍛えましょう!

もし重心が低く近いファーマーズウォークで上背部が丸まるなど姿勢が崩れたり、均等な歩幅で歩けないような事があればそれは身の丈に合わない重りかもしれません。

まずは軽い重量で長い距離(30m以上)歩くようにしてみてからストレングスアスリートの皆さんは是非高重量にもチャレンジしてみましょう!

ヨークキャリー

まず強烈な見た目のインパクト、まるでパワーラックをそのまま運んでいるようなヨークキャリーですが、見た目通り過酷な種目です。

ファーマーズウォークと違いバックスクワットのように背中に担ぎます。
よって重心は高くなり、ヨーク本体の重心は離れ低くなる事により振り子のように揺れてしまいます。

かつ最も高重量を支えうるバックポジションで保持するため身体に襲い来る重量感は全てのストロングマン種目の中で最大級です。

”高重量×安定”

両方が求められる究極の体幹トレーニングの1つです!

初めてヨークキャリーを行う方のほとんどが非常に軽い重量でも振り子運動に対応できず、コントロールが困難と感じます。

試合でヨークキャリーを行う場合、軽くてもストロングマンで250kg、ウーマンで100kgくらいは扱うため、場合によっては一歩踏み出した時にバランスを崩し全負荷が片脚に集中したら大変危険です。

まずはファーマーズウォークで安定して高重量にチャレンジ出来るくらいキャリー動作に慣れたらヨークキャリーにチャレンジしましょう。

異次元の負荷を是非体幹してみてください

道具がない!場所がない!

さて、ぜひチャンスがあればこの2種目、チャレンジしてみてほしいですが、一般的な設備のジムで行うキャリー系トレーニングは高重量になればなるほど他の人の迷惑になるのは必至…

現状一般的なジムにこのような器具が置いてあるケースは稀で、自身で購入するにしても保管や運搬など問題は山積み…

ですので!
そういった場合でも比較的アクセスしやすい、オススメのキャリートレーニングバリエーションもご紹介します

① サンドバッグキャリー

以前のコラムでもご紹介した、サンドバッグを使用したトレーニングです。
様々なストロングマントレーニング器具の中でも比較的入手が容易で、費用対効果の高い器具だと思います。
中身は砂ですから仮にジムの床に落としても安全です。

また、ストロングマントレーニング用サンドバッグは2重か3重構造になっており、落としても砂が溢れてくる心配は、上質なものであればほとんどありません。

袋だけが送られてきますので、砂は自分でホームセンターで買ってきて詰めてください!

また、屋外など多少汚れても良い環境で行うのであれば土嚢袋を買ってきて、何重かに重ねて格安に抑える事も出来ます。
(この場合はいくら重ねても強めに落とすとすぐ破れるので注意)

サンドバッグ自体の特徴として、砂は流動的なので、掴み所がありません。
なるべくサンドバッグの近くに立ち、抱きかかえるように腕をしっかり密着させ続けなければサンドバッグは持ち上がりません。

これらはアトラスストーンやタイヤフリップ など大きな物体を扱う種目共通なのですが、前腕の屈筋群、前鋸筋/広背筋/僧帽筋中部下部などの上背部群の筋力が非常に重要になります。

持ち上げた後は一度膝の上に置き、自身がしゃがみ込みます。
胸と腕をしっかり密着させ、胸腹の高さで保持したまま立ち上がります。

ここからキャリースタートです!


※短いですが、こちらの動画の2:42の動きをご参考にどうぞ!

ストロングマン/ウーマン競技特有の不安定な物体に対しての基礎をトレーニングする事が出来ます!

まずは安全に床からリフトできる重さを使用し、30〜50mの長めの距離でキャリーを行う事をオススメします!

② ケトルベルフロントラックキャリー/バーベルフロントラックホールド

フロントラックポジションとは、フロントスクワットのように肩の前で重りを保持する姿勢のことを指します。

バックポジションに担ぐよりも、脊柱のメカニクス的に腹筋群をより使う必要性があり、体幹の筋肉を活性化する事ができるため、様々なストロングマン/ウーマン競技種目の補強をする事が出来ます!

ケトルベルを使用したフロントラックキャリーは、バーベルに比べ安定させずづらく、かつ不安定になるのでストロングマントレーニング特有の要素を再現しやすいです。

従って高重量は扱いづらいので、長めの距離で行うのがオススメ。

フロントラックホールドは文字通り高重量のバーベルをフロントラックのポジションのまま支え続ける種目です。

立ち上がった時にセーフティからギリギリ離れる高さにセーフティ、バーベルをセットし、安全に行ってください。

この種目では、ヨークキャリーやファーマーズウォークで扱うようなかなりの高重量を扱えます。
体幹に未知の刺激が加わるでしょう!
10秒くらいのホールドを目標に高重量にチャレンジしてみてください!

③ スーツケースキャリー/ワンハンドオーバーヘッドキャリー

どちらも片手で行う種目です。
片側で行う事により、力学的に不安定な状況を作り出し、より少ない重さで強度を高める事ができ、身体の左右のバランスにもアプローチする事が出来ます。

苦手な側は少し長めの距離、1セット多くなどのやり方もアリだと思います。

スーツケースキャリーとは片手で行うファーマーズウォークです。
握力/上背部の筋力は勿論、腹斜筋群など身体の前額面上の安定性を保つ筋群を強烈に刺激できます。

オーバーヘッドキャリーは頭上に重りを保持した状態でのキャリーです。
オーバーヘッドは身体のメカニクス的に最も不安定なポジションです。

前回オーバーヘッドプレスをオススメしたのと同様、上半身だけでなく全身にとって素晴らしいトレーニングになります。

どちらもダンベル、ケトルベルなど一般的なジムにあるもので行う事が出来ます。

・キャリートレーニングで動的安定性の向上!

長くなってしまうので今回はここまで!

少しでもストロングマン/ウーマン競技特有の要素の一部に理解を深めて貰えたら嬉しいです。

加えてこれらの要素は全てのストレングススポーツのアスリートにも役に立つものと思います。

今回ご紹介したものに拘らず、何か重そうなものがあったら持つなり、担ぐなり、抱えるなりして運べるだけ運んでみてください!

ストロングマン的big3と何かしらキャリーを合わせる事によって9割方ストロングマン/ウーマンとしてのトレーニングは完成します。

最後の1割を埋めるピースを次回ご紹介していきます!

今回もご覧頂きありがとうございました!
次回もお楽しみに!

文:中嶋健詞
Japan Strongest Unityは神奈川県横浜市を拠点に活動しています。
トレーニングを体験して見たいという方は是非一度HPやInstagramからお問い合わせ頂ければ嬉しいです。

このエントリーをはてなブックマークに追加

関連する記事