このエントリーをはてなブックマークに追加

佐名木流オフからの復活

読者の皆様こんにちは。

「この冬一番の寒さ!」と毎日のようにニュースで聞くたびに「そらそうやろ」と突っ込んでしまう季節ですが如何お過ごしでしょうか?

特に朝は冷え込み、外に出るのが億劫になってしまいますが、それでも身体作りは継続しなくては意味がありません。

春が来て半袖になった時に「あぁ冬の間も頑張っててよかった!」と笑えるようにこの冬も一緒に頑張りましょう。

さて今回は本題に入る前に2つほど近況報告をさせて頂きます。

【PDSGroup勉強会】

12月3日(日)に新大阪のKOKO PLAZAにてPDSGroupという団体の勉強会で講師を務めました。

このPDSGroupは主に専門学校で治療家やアスレチックトレーナーを目指す学生が中心となり運営していて「スポーツを通じて日本を活性化」という高い理念を掲げて活動している団体です。

講師依頼を受けて最初は「学生が運営する団体とはどのようなものなのか?」と不安に感じる事もありましたが、事前のメールでの打ち合わせから当日の案内、講義中のサポートや打ち上げまで完璧に準備されていて講義をしていてこれほど楽しいセミナーは初めてでした。

また参加していた学生達の学ぶ姿勢やスポーツに対する熱い気持ちをぶつけられ、20年前の自分を思い返し胸が熱くなりました。

立場や年齢に関わらず、やっぱスポーツに携わる人間は熱くなくっちゃ駄目です。

歳を重ねる毎に忘れかけていたそんな当たり前の事を思い出させてくれた素晴らしい出会いでした。


この場を借りてお礼を申し上げます。

本当に有難う御座いました。

【関西大学ベンチプレス大会をSBDがサポート‼】

2つ目の近況報告は私が勤務する関西大学の千里山キャンパス内でベンチプレス大会を行いました。

このベンチプレス大会は主に一般学生に健康増進に対する意識を高めてもらう事と一般学生と体育会学生との交流を目的に行われ、今回からは私が日頃指導する学生S&Cクラブの部員たちが主体となり企画運営が行われました。

そしてこの大会をSBDApparelJAPANがスポンサーとしてサポートしてくれました。

大会は3日間にわたり開催され、女子の部【体重部差別】

一般学生60kg以下級・70kg以下級・70kg超級

体育会学生の部【体重無差別】

以上5部門に分かれて記録を競いました。

総参加者数は167名。

SBDからの景品の他に参加者全員にベンチプレス強化プログラムが記録証と共に配られます。

大会に参加してくれた多くの学生は勿論の事、企画運営に携わったS&Cクラブの学生達にとっても学びの多い大会となりました。

【佐名木流オフからの復活】

さてそんな楽しいイベントが続いた12月ですが、私自身もトレーニングを再開し来春の大会に向けてまずは基礎となる筋量の再獲得を狙ったトレーニングを実施しています。

実は10月下旬から11月末までの5週間にわたって、胸郭出口症候群という神経性の症状が出てしまいまして左腕が肩から指先まで常に痺れているという状態でした。

実はこの症状はボディビル競技を行っていた最後のシーズンである2011年にも発症した事のある症状で、その時は同じ左腕が、脇の下から上腕三頭筋を通って小指まで痺れてしまって真夏なのに常に冷たく感じ、触ると火で炙られているような熱感が襲う、というような状態が2ヶ月も続き、結果としてトレーニングの継続が困難となりエントリーしていた9月以降の大会をキャンセルし、そのまま引退する事となってしまいました。

今回の症状はそれよりは遥かにマシで痺れはあるものの冷感や熱感は無く筋力の低下も殆どありませんでした、しかし6年前の酷い症状に発展するのが恐くて症状が消えるまでの5週間の間は完全にバーベルを握らずオフをとる事にしました。

【再出発の為にはしっかりと計画を立てる】

皆さんの中にも経験した事のある方もいらっしゃると思いますが、長いオフや場合によっては年単位でトレーニングを中断せざるを得なかった場合、いざ再開しようとしてもなかなかメンタル的なエンジンがかからなかったり、急にやり過ぎて体調を崩してしまったり、無理をして怪我をしてしまったりと、行き当たりばったりのトレーニングプランで再開してしまうとロクな事がありません。

どんな競技でもそうですが、長く続けていると意図するしないに関わらず、必ずこのような長期オフを経験すると思います。

そして長く競技を続けている選手というのは各自が自分なりのオフからの復活方法を持っているものです。

今回は不肖ながら私の例をご紹介させて頂こうと思います。

【焦らず気持ちと身体の土台を作る】

まず私の場合、最初はバーベルを持とうとはしません。

メンタル的にもパワーリフティング種目に挑もうという気持ちになりませんし、長期オフの後は身体のバランスが乱れてしまっている場合が多いので、まずは状態の把握も含めて全身を自体重でのエクササイズや軽いダンベル種目で整えるところから始めます。

プログラム例

STEP1:ウォーキング30分・プッシュアップ20回×5セット
まずは朝起きて水だけ飲んで30分歩きます。

これだけでも久々の運動なので身体のいろんなところが硬くなっていたり動きに左右差が出ている事が分かります。

そして私の場合は上半身の問題からの復帰ですのでまずは上半身の筋力差を確認するためにプッシュアップを色んな手幅でゆっくり20回ずつ行います。

またトレーニングをしていない時期は食事もいい加減になっている事が多いので、空腹時にウォーキングとプッシュアップを行う事でキチンとお腹が空き栄養を身体に取り込もうとする状態に戻します。

STEP2:上半身を軽くパンプ
(例)ダンベルベンチプレス30㎏程度×10回×5セット
マシンワンハンドケーブルロー30kg程度×10回×5セットずつ
ダンベルサイドレイズ10㎏程度×20回×3セット
自重デップス×20回×3セット

まずはダンベルプレスとケーブルローで基本的な押す・引く動作の確認と全可動域での力の入り具合をチェックします。

サイドレイズでは両肩の動きに差が無いかを確認。

デップスはバーベルベンチプレスを始める前の肩甲骨の安定感を確認しながら色んな角度・軌道で身体が安定して押せるように確認します。

STEP3:下半身を自重でトレーニング
(例)ウォーキングランジ 自重×20m×10セット
ヒップリフト 自重×トップで5秒止めケツハムを攣りそうになるまで硬くする×20回×5セット

ここでもまだバーベルを担ぐのではなく自重でのウォーキングランジをだいたい朝起きて仕事に行く前の時間で近所の坂道や公園を利用して行います。

オフ明けだと、これだけでも下半身全体にもの凄い筋肉痛が来ます。

またバランスをとりながら股関節を大きく動かす事で左右の柔軟性や筋力のアンバランスを修正する事が出来ます。

ただし一人でやるのはかなり恥ずかしいので日曜日に子供を誘ったりして「ジャンケンして勝った方が進む」等と遊びながら行うと、気の進まない脚の筋肉痛生活のスタートを切る事が出来ます。

また私の場合は腰痛持ちですのでお尻と太腿の裏をしっかり意識して使えるようにしてスクワットやデッドを行う為の準備をします。

これも近所の公園のベンチでやる事が多いのですが犬の散歩などしている人に見られると恥ずかしい動きなので、

 

片足を浮かすシングルレッグヒップリフトなどに変更する場合もあります。

STEP4:上半身ダンベルサーキット
(例)ダンベルベンチプレス30kg程度×20回
チンアップ 自重×20回
シーテッドアーノルドプレス 20kg程度×20回
ダンベルサイドレイズ 15kg程度×20回
ダンベルライイングトライセップスエクステンション 20kg程度×20回
ダンベルカール 16kg程度×20回

このように5~6種目程度を選び休憩なしで数人でグルグル回したり、誰が一番早く5セット(5周)出来るかなど競争しながら楽しく行います。

私の場合はその辺にいる学生を捕まえて「一緒にパンプしようぜ!」とか「今日中にデカくなろう!」等と言いながら付き合ってもらいます。

ある程度フォームが崩れる事は気にしないで、とにかく我武者羅にダンベルを振りまくる事で上半身全体を短時間でオールアウトさせ、最後は皆でハイタッチして終わります。

この他にも「泣くまでカール大会!」や「100レップス大会!」「トランプを引いて出た数字上げる大会!」等を企画しながらグループで楽しく追い込みます。

今年はちょうど年末に学生S&Cクラブの学生達と大掃除を行った後に「108種目108レップス大会!」を行ったり、「佐名木道場」と呼んでいる関西大学のOB達で作るグループLINEに週に1回御題を出して(例:12月24日までに自分の体重の2倍の重量で限界までデッドリフトを行っている動画をアップする事!)

普段別々のジムでトレーニングしている仲間と競争したりしながら楽しく身体を戦闘モードに戻していったりしています。

STEP5:下半身の筋量を戻す

(例)45度レッグプレス 200kg×20レップス×5セット
ダンベルルーマニアンデッドリフト 40kg×20レップス×5セット

下半身もいきなりパワーリフティングスタイルのスクワットやデッドを行うのではなく、まずは手軽にパンプアップして筋量を戻す事が出来る45度レッグプレスで、確実にフルレンジでコントロール出来る重さでプルプルになるまでトレーニングします。

ここは筋肉のボリュームを戻す事が優先なので筋肉に刺激を与え続けるために多少尻が浮くぐらいまでおろして、あげた時の膝はロックせずに反復します。


また通常のスモーデッドを行う前の準備として、下背・臀部・ハムストリングスを大きな可動域でコントロールするためにダンベルでのルーマニアンデッドリフトを採用してこちらもハムが千切れそうになるぐらい限界までストレッチさせながら反復します。

STEP6:パワーリフティングを意識した身体作り
(例)ダンベルベンチプレス 40kg程度×ボトムで3秒止める×10レップス×4セット
バーベルベントシュラグ 180kg程度×10レップス×3セット
バーベルベントオーバーローイング 140kg程度×10レップス×3セット
ダンベルハンマーカール 30kg程度×20回×3セット


私の場合ですが肩が悪くてベンチが弱いので最初からバーベルでやるとどうしても左右差が大きくなってしまいます。

特に止め上げをする段階で顕著になるのでバーベルベンチをやる前にダンベルの止め上げを行うようにしています。

またスクワットのフォーム、特に担ぎを安定させるためには僧帽筋を中心とした上背部の筋量と上腕筋・前腕部の筋量を戻さなければいけないと考えていますので、スクワットのスタート時と同じ程度の軽い前傾でのシュラグやパーシャルデッドリフトを重視しています。

スクワットについてはまた改めて書きたいと思いますが、私は成功するか失敗するかは、担ぎ(受け)で90%は決まると考えています。背中に乗せた重りを骨盤の中心にしっかり置く事が出来れば、当たり外れなく安定して下肢の力を最大限に発揮する事が出来ます。

【まとめ】

元々は感覚的にやっていたものを経験を積むにつれて徐々にルーティン化してきたものではありますが、私の場合はこのような手順を踏んでからパワーリフティングのトレーニングを再開するようになってからはトレーニングサイクルにスムーズに乗っていけるようになりましたし、重量が重くなってきた時に筋量不足からくる不安定感や関節の痛みに悩まされる事が減りました。

また今回のように予期せぬ理由で長期のオフをとらざるを得なくなった時も、これらのルーティンを行えば元の状態に戻す事が出来るという自信があるので、焦らず安心して治療に専念する事が出来ました。

因みにパワーリフティングのためのトレーニングサイクルについては以前岐阜パワーに参戦した時に「佐名木式MTSS」と称して書いておりますので今回は割愛させていただきます。

長期オフからの復帰の場合は、このようなトレーニングサイクルに乗せる前段階として以下のような簡単な準備サイクルを設けています。


デッドリフトに関してはとても慎重である印象を受けるかも知れませんが、腰痛になってしまっては計画を実行する事が来ませんのでパワーリフティングに耐えうる身体を徐々に作っていきます。

このように実際に試合に向けたトレーニングサイクルに入るまでに1ヶ月半ほど準備します。

一見遠回りしているようにも思えるかも知れませんが、長く競技を続けるには強くなること以上に壊れない事が重要です。

パワーリフティングでも他の競技でも若くしてトップレベルの実力を発揮していたのにもかかわらず数年で消えて行ってしまった天才選手が沢山いるはずです。

若く勢いがあるうちは気にもしないような事が実は長く続けていく為には必要な事だったりします。

皆さんもそれぞれの環境にあったオフからの復帰ルーティンを作ってみては如何でしょうか?

コラムニストやコラム内容についてのメッセージは下記のアドレスまでお送りください。

コラム用メールアドレス: column@sbdapparel.jp

※どのコラム宛かを明記してください。
※お送りいただいたメールの内容は、コラムで取り上げられる事があります。

■コラム執筆者

佐名木宗貴
ベスト記録(ノーギア)
スクワット 241kg
ベンチプレス 160kg
デッドリフト 260kg

戦跡
パワーリフティング
・全日本教職員パワーリフティング選手権 90kg級 優勝
・2009~2012年 近畿パワーリフティング選手権 4連覇 75・82.5・83・90kg級4階級制覇
・ジャパンクラッシックパワーリフティング選手権大会 83kg級 準優勝
・アジアクラッシックパワーリフティング選手権大会 83kg級 優勝
・東海パワーリフティング選手権大会 93kg級 優勝

ボディビルディング
2000~2001年  関東学生ボディビル選手権 2連覇
2000年     全日本学生ボディビル選手権 3位
2011年     日本体重別ボディビル選手権70kg級 3位
2011年     関西体重別ボディビル選手権70kg級 優勝

このエントリーをはてなブックマークに追加

関連する記事