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ジャパンクラシックパワーリフティング選手権大会の結果報告と試合展開や準備について

今月もご覧頂きましてありがとうございます。
SBDコラムニストの栗原弘教です。

今回は先日行われましたジャパンクラシックパワーリフティング選手権大会の結果報告を試合展開や準備などを踏まえてお伝えして行きます。

<目次>
・ジャパンクラシックパワーリフティング選手権大会振返り
 -会場
 -大会結果
・大会内容
 -事前準備
 -W-up(ウォーミングアップ)の仕方と第1試技重量について
 -各試技と優勝争いの内容について
・まとめ

ジャパンクラシックパワーリフティング選手権大会振返り

会場

今回のジャパンクラシック選手権大会(以下「JCP」)は当初の予定地である愛知県岡崎市から、新型コロナウイルスの感染状況を考慮されて変更になり、兵庫県明石市のパワーフラッシュアリーナで行われました。

パワーフラッシュアリーナは、写真の通り試技を行うプラットホームがステージになっており雰囲気を高めてくれる会場です。

アップ場も写真のバックボード裏に充実しています。
今回初めてパワーフラッシュアリーナで試合をしましたが、とてもやりやすかったです。

大会結果

結果からお伝えすると、初めてJCPで優勝し目標にしていた日本一になる事が出来ました。
9試技全て成功、加えて3種目全てで自己ベストを大幅に更新する事もでき、トータルも現状では満足のいく最高の結果でした。

スクワット:290kg  (+10kgPB)
ベンチプレス:185kg (+15kgPB)*シングルベンチからは+5kg
デッドリフト:270kg (+10kgPB)

トータル:745kg (+35kgPB)

昨年は新型コロナウイルスの影響で大会が中止、延期になったり自粛期間も長く今回のJCPも直前まで開催が不透明でしたが、その中で自分の取り組んできた事とプラン通りの試合が展開出来た事、JCPの舞台で僅差の優勝争いが経験出来た事がとても良かったです。

大会内容

事前準備

今回は特に大きな減量などはありませんでしたが、上位陣のノミネーション記録を見ると接戦が予想されたので試合1週間前からやや食事量を抑える様にしました。

これは、試合でトータルが同重量であった場合、検量体重が軽い方が勝ちになるルールがあるためです。

前日就寝前の体重は105kg丁度。

試合当日起床時は104.2kg。
予想通りの体重だったので、朝は軽く水分を補給しつつ検量終了まで固形物は取りません。

検量体重は103.95kgでした。
104.00〜104.20kgであれば問題ないと思っていたので、自分としては合格です。

検量後は水分とパン1個、バナナ1本でエネルギー補給です。
過度な減量ではないのでそこまで気を遣う程ではないですが、私の場合検量後にあまり固形物を入れない方がコンディションが良いので、試合前は大体その様な内容です。

これは人によって大きく変わってくるので、試合毎に自分に合った方法を見つけていくのが良いと思います。

W-upの仕方と第1試技重量について

試合前のW-upについて簡単に。
私の場合はストレッチやコンディショニングで約1時間かかります。
やることはほぼ決まっているので、それから逆算してスタートします。

検量後2時間後に試合が始まるルールなので、これから試合に出る方はその辺りの時間を考慮しながらW-upをスタートさせる様にした方が良いと思います。

また、その様な事から普段から自分の身体がベストに近くなるコンディショニングにかかる時間の平均も把握しておく事が、試合で焦らずにいつもの状態を引き出す為に大切だと思います。

アップはそれぞれ次の通りです。

・スクワットのアップ
20kg×4、70kg×2、120kg×1、170kg×1、200kg×1、220kg×1、240kg×1
第1試技の重量は260kgです。

・ベンチプレスのアップ
20kg×4、70kg×2、100kg×1、120kg×1、150kg×1
第1試技の重量は167.5kgです。

・デッドリフトのアップ
70kg×2、120kg×2、170kg×1、200kg×1、220kg×1
第1試技の重量は242.5kgです。

恐らく多くの方が迷う第1試技の重量選択ですが、私の考えでは最終アップになる重量です。即ち今回の上記に挙げた第1試技の重量は全て最終アップになる重量です。

この重量の決め方は、「3回は間違いなくできる重量」といった感覚です。
普段の練習からその辺りを意識して取り組むだけでも上手く安定した試技と試合展開を出来ると考えています。

初めて試合に臨む方や、まだ試合経験の浅い選手に多く見受けられるのが第1試技からMAXに近い重量を申請している場面です。
試合の第1試技は経験豊富なトップ選手でも緊張し、ミスをする事もあります。
そして、その後の試技にも精神的、肉体的にも大きく影響を及ぼしますので、絶対に安心して成功出来る重量を選択する事を強くおすすめします。

今後、特に直近で大会を控えている読者の方がおられましたら、ぜひその点を冷静に考えてみてください。
第2試技からが本番、第3試技で目標重量やベスト更新の重量を選択する方が満足のいく結果に繋がる事が多いと個人的には思います。

各試技と優勝争いの内容について

スクワット:第1試技 260kg 第2試技 275kg 第3試技 290kg
ベンチプレス:第1試技 167.5kg 第2試技 175kg 第3試技 185kg
デッドリフト:第1試技 242.5kg 第2試技 257.5kg 第3試技 270kg
 
といった進め方をしました。

今回は730〜740kg付近で優勝争いがあるだろうと思っていたので、全種目第2試技までを着実に成功させて、その日の調子やマークしている選手の様子を見て第3試技の重量を決めるという展開でした。
私の場合は、どの試合でもほぼこの様な考え方で試合を構成しています。

 
・スクワット第3試技 290kg

スクワットは、アップの段階からとても調子が良く、第2試技の275kgをやった感じで290kgにチャレンジするかどうかを決めようと思いました。

私の場合は、デッドリフトに対してスクワットが強くサブトータル型になるので、スクワットの第3試技を成功出来るかどうかに加えて、何kgを成功出来るかが勝負に大きく影響してきます。

今回は275kgが軽く感覚も良かったので思い切って290kgを申請し、成功しました。
ここを取れた事でベンチプレスへ気持ちよく進める事が出来ました。

 
・ベンチプレス第3試技 185kg

続くベンチプレスですが、第3試技を180〜185kgの間でどうするかとても迷っていました。
やはりアップの段階から調子は良く、スクワットの疲労も問題ありませんでした。

マークしていた落合選手と田野選手のベンチプレスにどこまで食らいついていけるかが、デッドリフトでの優勝争いの鍵になると思い、練習でも綺麗な成功がない185kgにチャレンジし勝負をかけました。

結果は無事に成功。

ここでの成功がデッドリフトでの競り合いに大きく影響を与えました。
もし180kg、182.5kgであれば恐らく優勝の可能性は低かったかと思います。

精神的にもこの185kgの成功は自信に繋がり全力でデッドリフトへ臨む事が出来ました。

 
・デッドリフト第3試技 270kg

最終種目のデッドリフト。
第2試技までは予定通りの展開で着実に成功。
優勝争いをしていた落合選手、田野選手も着実に成功試技を積み重ねていました。

第3試技は田野選手の260kgは惜しくも失敗でトータル735kg、暫定1位。
その時点で、私はトータル732.5kgで落合選手と同重量体重差で2位です。

この時、私が270kgを申請、落合選手が295kgを申請していました。
私が270kgを成功させればトータル745kgで、後引きの落合選手が295kgを成功したとしても、体重差があるので(私の方が軽いので)同重量となり私の勝ちになってしまいます。

したがってその場合、後引きの落合選手は私のトータルに+2.5kg被せをしなくてはいけないので、297.5kgを成功させなければいけなくなります。

落合選手は公式大会で300kgのデッドリフトを成功させていますが、当日のコンディションなどを見て難しいのではと思っていました。
もし私が272.5kgを成功させれば落合選手は300kgを成功させなければいけなくなるので、ほぼ確実に優勝が決まると思いましたが、私の公式ベストが260kgで270kgを成功した事がない事もあり、当日の調子から絶対に成功出来ると見込んだ270kgを選択しました。

そして、私は無事に270kgを成功。
私の試技成功を見て、落合選手はすかさず297.5kgへ重量変更。(*デッドリフトの第3試技のみ申請後の重量変更が可能です。)
優勝を狙った297.5kgの試技は、引き切ったと思った瞬間にグリップアウトし、惜しくも失敗となりその瞬間私の優勝が決まりました。

今回の様に全国の舞台で最後の最後まで競り合う優勝争いが出来たことは、選手、指導者としてとても良い経験となりました。

落合選手、田野選手はじめ105kg級で戦えた選手の皆様、アップから色々とサポート頂いた補助員の皆様、本当にありがとうございました。

まとめ

今回の試合では、試合前のプランニングや準備、セコンドの重要性など様々な事をに気づく事が出来ました。

そして、今回の経験を今後の自身の試合やMaster Mindの所属選手の方々へも伝えて多くの方がより良い試合が出来るようにしていこうと思いました。

また、困難な情勢の中大会開催に尽力して頂きました関係者の皆様に、心より感謝申し上げます。

最後までお読み頂きましてありがとうございました。
次回もよろしくお願い致します。

文:栗原 弘教

 
 
お知らせ

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◉高重量を扱う為、競技スポーツに役立つ肩甲帯コンディショニング方法- Mobilityドリル編
◉高重量を扱う為、競技スポーツの為に役立つ肩甲帯コンディショニング方法 -ケア編-
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公式大会ベスト記録(ノーギア)
105kg級
スクワット  290kg
ベンチプレス 185kg
デッドリフト 270kg
トータル   745kg
シングルベンチプレス 180kg

戦績
ジャパンクラシックパワーリフティング大会 出場6回 最高位 優勝
ジャパンクラシックベンチプレス選手権大会 出場2回 最高位 8位
2017 東京都秋季パワーリフティング選手権大会 93kg級 3位
2018 東京都秋季パワーリフティング選手権大会 105kg級 優勝
   *スクワット265kg、トータル685kgの東京都記録樹立(当時)
2019 ジャパンクラシックパワーリフティング大会 105kg級 5位
2019 東京都春季パワーリフティング選手権大会 105kg級 3位
2019 いきいき茨城ゆめ国体 パワーリフティング 105kg級 4位
2021 ジャパンクラシックパワーリフティング選手権大会 105kg級 優勝

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