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How to ストロングマントレーニング シリーズ 2

こんにちは!
ストロングマン競技を行ってます、SBDコラムニスト中嶋です!

今回でHow to ストロングマントレーニング シリーズ は一区切りとなります。

前回からご紹介してきたストロングマン/ウーマン競技を行うにあたっての特徴的な3要素の中から次の2つについてご紹介していきます!

1.前腕〜上背部の筋力
2.筋パワー/コンディショニング

1.前腕〜上背部の筋力


〇保持力
ストロングマン/ウーマン競技ではバーベルの様に手のひらに収まってくれる器具はほとんどありません。

太かったり、大きかったり、それらを保持し、持ち上げ、運んだりするには単に握る以上の保持する力が必要です。

その鍵を握るのが前腕と上背部の筋力です。
具体的には前腕の屈筋群、上腕筋、僧帽筋群、三角筋後部、広背筋、前鋸筋辺りになります。

○上背部の筋群の役割
様々な高重量に耐える為の姿勢の維持(胸椎の伸展)、オーバーヘッドプレス時の肩甲骨の正しいポジションでの安定。
特に下半身のトレーニングの際に背中が丸まってはいけない、というのはバーベルに触れたことがある方であればご存知の方も多いと思います。

正しい脊柱のアライメントを維持せずに重量物を持ち上げると、腰に深刻なダメージを残す可能性があります。
強い上背部の筋群があれば、肩甲骨を引き下げ安定させ、高重量を保持しても胸椎の伸展(背中のアーチ)を維持する事ができます。

これはオーバーヘッドプレスの際に正しい準備姿勢を作るためにもとても役立ちます。

○ホールド系
ファーマーズウォークや、アクセルクリーンプレス、ヘラクレスホールドなどがこれにあたります。

バーベルを保持する力の延長線上になり、キャリーする事で発生する揺れや、アクセルシャフトの様な太いバーベルに対応する必要が出てきます。

前回コラムでご紹介したように、ファーマーズウォーク自体を行う事がこのホールド力を高める最も良い方法です!

行えない場合のおススメとして
・ダブルオーバーハンドグリップベントオーバーロウ
床に付かないギリギリまで降ろし、握力で慣性をコントロールしながらベントオーバーロウを行います。
アクセルシャフトのように代替するためにファットグリップアタッチメントを利用するのもおススメです。

・ファーマーズホールド
ダンベルやケトルベルで代用可能です。両手あるいは片手に重りを持って限界まで耐えます。足に落とさないようくれぐれもお気をつけてください!
我慢強さが求められます!

○ハグ系
アトラスストーン、サンドバッグ、タイヤフリップ、など。
ストロングマン/ウーマン競技での特徴的な動きの一つに身体の前で大きなものを抱えるような動作があります。それらをまとめてハグ(抱き抱える)系とさせてもらいました。

まず前腕の屈筋群が十分に強くないとスタートラインに立てません。物体を固定して、下半身の力を伝えるために前腕屈筋群を強化しましょう。

また、これらの種目は手が身体から離れた場所に位置するので、バーベルのバックスクワットのように肩甲骨を内転(内側に寄せる)させて物理的に安定させる事が出来ません。
脊柱のアーチを保つため純粋な上背部の筋力が問われます。

これも以前ご紹介したようにサンドバッグを使ったキャリーや、ホールドなどのトレーニングを行うことが一番のおススメです。

バーベルで行えるおススメ代替種目は
・スナッチグリップ(ワイドグリップ)デッドリフト
手が離れる事により、より上背部の強化になります。
リストストラップ無しで行えばホールド力も強化。スティッキングポイントで静止するポーズデッドリフトのバリエーションで行う事もおススメです。

・ストーン/サンドバッグシュミレーター
プレートで代用する方法です。
指を入れる隙間を小さなプレートで作り、その上にバンパープレートを重ねます(アイアンは滑るのでとても危険です!)

アトラスストーンや、サンドバッグと同様にスタートポジションを作りその姿勢で
ベントオーバーロウやそのまま抱えてスクワットの動作を行います。

ストーンやサンドバッグをイメージするためにとても素晴らしい種目ですが、固定なしに行うと危険ですので、十分注意して行ってください。

・アイソメトリックハンマーカール
保持し続ける事を想定して、アイソメトリックで行います。肘が90°の位置で、30〜45秒で限界になる重量が目安となります。
ファットグリップを使うとなお良し!

○オーバーヘッドプレスの土台
上背部の筋群を働かせて、肩甲骨を十分に引き下げておいて初めて安定した肩のポジションを作る事が出来ます。

ただ、どうしても現代の生活や、押す種目が主役な点が影響して、肩関節前方の筋群が優位になってる方は多いです。

未然に肩の怪我を防ぐために、押す:引く=1:2 で鍛える事をオススメします
一番はチンニングやシーテッドロウ、フェイスプル、など一般的な種目を地道に行う事です。
肩甲骨の下制(下に引き下げる)動きを意識して行う事により効果を感じられると思います!

2.筋パワー/コンディショニング

物体を持ち上げる、移動させるスピードや、回数、時にはそれらを連続で(メドレー)行うこともあるストロングマン/ウーマン競技において『爆発的に、持続的に』
パフォーマンスを発揮するというのは、最大挙上重量のみを競い合うストレングススポーツとは大きく違う点であり、ストロングマン/ウーマン競技において非常に大事な要素になります。

最大挙上重量を競い合う場合、かかる時間はほんの数秒なのに対し、最大回数を競う場合やキャリー系メドレーでは1分以上続きます。

蓄積する乳酸と肺の痛みに耐えるためには体内のエネルギー供給系の観点から(詳しくは調べてみてください)それ相応の対策が必要です。

上の写真はサンドバッグを使用したキャリーメドレーのスタート前です。
実際の移動距離を想定して、素のダッシュとサンドバッグキャリーを交互に行いました。
合計1分30秒近くダッシュと重りを持ったダッシュを繰り返します。

当然キツイです!

再三キャリー系トレーニングを取り入れる事をオススメしている理由の一つとして、心肺機能の強化/適応=コンディショニングが同時に行える事があります。

また一つ一つの動作がより爆発的に行う事が出来れば速さを競い合う競技の場合タイムの短縮に繋がります。
素のダッシュやボックスジャンプなどのプライオメトリック系種目、またダイナミックエフォートや、VBT(velocity based training)と言われる物体の挙上速度に重きを置き、仕事量を最大化するトレーニング方法、評価基準を利用したトレーニングもオススメです。

ストロングマン/ウーマン競技には最大筋力だけでなく、全ての筋力要素が求められます。

・筋パワーとコンディショニングのためのトレーニングの一例
60〜80% 1RM
リフト系  2〜5reps
キャリー系 15〜25m
休息   45〜90秒
セット数 5〜10sets

疲労してスピードを落とさないために最大筋力系以下のウェイトを余裕のある回数で行います。

毎回爆発的に動作を行う事を意識し、休息は短く抑えます、心拍数を高く保ったまま、多めのセット数で行います。

肺はキツイですが、あくまで発揮できる筋パワーを落とさないように行う事がポイントです。

コンパウンドセット法の様な形式で複数のストロングマン種目や、プライオメトリック系種目を混ぜることにより、より実用的なトレーニングになると思います。

パワーリフティングや、ボディビルディングからストロングマン/ウーマンに転身するために最も必要な要素とも言えます。

ただ実際のところストロングマン/ウーマンと言えど、走る事より、重いものを挙げる方が得意という選手の方が圧倒的に多いです。

爆発的で持続的な選手になる事により、周りに差をつけられます!

決して最大筋力で優っていなくとも戦う事が出来るのがこの競技の面白いところでもあります。

◆まとめ

さて、How to ストロングマントレーニング シリーズ、いかがでしたでしょうか!?

ストロングマン/ウーマン競技の面白さ、奥深さが少しでも伝わればと思い今回コラムを書かせて頂きました!

この競技が日本において筋力カルチャーを愛する全ての人々の一つの選択肢となれるよう
Japan Strongest Unity はこれからも普及活動、情報発信を行なっていきます!

昨今の状況を鑑みて、合同練習会や、動画コンテンツの撮影など、一時休止とさせて頂いている状況ではありますが、日本においてのストロングマン/ウーマン競技をアピールしていくために着々と準備を続けております。

また、今後もストロングマン種目毎の解説や、トレーニング方法などの内容でコラムを執筆させて頂く予定です。

Stay Positive!!Stay Strong !!

文:中嶋健詞
Japan Strongest Unityは神奈川県横浜市を拠点に活動しています。
トレーニングを体験して見たいという方は是非一度HPやInstagramからお問い合わせ頂ければ嬉しいです。

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