このエントリーをはてなブックマークに追加

ジャパンクラシックベンチプレス選手権大会に出場して感じたシングルベンチとパワーリフティングの違いについて

今月もご覧頂きましてありがとうございます。
SBDコラムニストの栗原弘教です。

今回は、先日1月25〜26日に行われたジャパンクラシックベンチプレス選手権大会に出場して感じた、シングルベンチプレスの試合とパワーリフティングの試合の違いについて書かせて頂こうと思います。

<目次>
・ジャパンクラシックベンチプレス選手権大会会場の様子
・ジャパンクラシックベンチプレス選手権大会出場の理由
・試合内容と結果
・パワーリフティングとの大きな違い
・パワーリフターがシングルベンチプレス大会へ出るメリット
・まとめ

ジャパンクラシックベンチプレス選手権大会会場の様子

今回のジャパンクラシックベンチプレス大会は、1月25〜26日の2日間の日程で三重県津市のアスト津アストホールにて開催をされました。カテゴリーは一般男子、一般女子の部です。

会場は駅に隣接しているビルのホールにあり、宿泊施設なども多くアクセスがとてもよくとても立地が良かったと思います。

試合は1面での開催、アップ場は3面あり、運営の方の手際も大変素晴らしく試技もウォーミングアップも各選手スムーズに行えていた様に思います。

今大会は、SBDアスリートの鈴木選手、渋谷選手、SBDコラムニストの福村選手も出場していました。SBDコラムニストの佐名木さんもセコンドの為にいらっしゃっており、会場では近況報告や大会についてなど、色々と話をしながらリラックスして試合に臨む事が出来ました。

ジャパンクラシックベンチプレス大会出場の理由

さて、今回私がジャパンクラシックベンチプレス選手権大会(以下JCB)へ出場をした理由ですが、いくつか目的があります。

まず1つ目は、苦手としているベンチプレスの強化、2つ目はベンチプレッサーの真剣勝負を肌で体感し技術などを吸収する事、3つ目はパワーリフティングとシングルベンチプレスの違いを感じる事、です。

1つ目について、私の場合は3種目の中でベンチプレスにやや苦手意識があり、その強化次第で大きくトータルの記録を伸ばす事が可能になると考えています。

今回のJCBでは、ベンチプレスのベスト記録170kgを上回る事(それを見越した重量申請のテスト)、3月にジャパンクラシックパワーリフティング選手権大会を控えているので、明らかなピーキングは行わず練習の一貫として取組む事(新たなフォームのテスト)、昨年9月の国体で痛めた左肩の怪我からの回復度合いの確認、というテーマを持って臨みました。

2つ目は、普段のパワーリフティングの試合ではあまり体感出来ない国内トップベンチプレッサーの方々の試技やアップの様子などを、実際に試合をしながら少しでも吸収したいと思っていました。後述しますが、結果としてとても大きな学びになりました。

3つ目は、パワーリフティングとシングルベンチベンチプレスの違いを実際に試合に出る事で肌で感じてみたくなったからです。そして、双方の良さや難しさなどを今後の競技人生や所属選手やクライアントの指導に生かして行きたいと考えていました。

試合内容と結果

目標がベスト記録である170kgを上回る事なので、最低でも172.5kgを成功させなければいけません。

試合前の練習では、当日の調子によっては175kgまで申請してトライしてみようと思っていましたが、そう簡単には行きませんでした。

今回試合で使用された器具はパワーラインというラックで、ベンチプレスの記録が出やすいと言われているラックです。理由としては、シートが比較的柔らかく厚みがありブリッジを組んだ際に肩がシートに沈み込み、しっかりと固定され力のロスが少ないからと言われています。

私は普段BULLの公式ラックで練習をしていますが、シートやラック高の違いでアップの段階からやり難さをやや感じていました。本当に些細な事ですが、ラックの高さやシートの沈み込み、硬さ等の違いで、バーに伝わる力やブリッジ、フォームの安定感などは変わってきます。

どんな状況や器具でも安定した試技や記録を出せる様に、色々な事を想定した練習や技術が必要だと痛感した大会になりました。

第1試技は予定より抑えめの160kg。
問題なく白3本で成功です。

予定では、162.5〜165kgスタートでしたがパワーラインに上手く合わせられていない事をアップの際に感じたので、第1試技はしっかり余裕を持って取れる重量の160kgを選択しました。

また、現在フォームを新しく作っている最中なので、JCBという厳しい判定の中でしっかりと白判定を貰えるかという確認の意味も含まれる第1試技だったので、この重量選択に至りました。

第2試技は167.5kgで結果は白3本で成功。

第1試技の160kgが問題なく挙がったので、第3試技を見据えての重量選択です。
挙がりは予想よりやや渋く、175kgへの挑戦は厳しいな、と判断せざるをえませんでした。
セコンドについて頂いた渋谷選手の感想も同様でした。

第3試技は172.5kgを申請。
第2試技の挙がりが予想より渋めだったので、無理に攻めず今回の目標であるベストの更新の為に172.5kgを選択しました。

結果としては、途中までは挙がりましたが最後差しきれずに失敗となりました。
170kgの申請であれば何とか成功出来たかもという感覚はありましたが、今回の目標とは異なるのでその申請はしませんでした。

結果としてはベスト更新ならずと残念な結果でしたが、自分の課題も感じる事が出来たとても意味のある試技や経験が出来ました。

また、順位に全く絡む事が出来ない実力の差も直に感じられたので、今後はシングルベンチの大会へも積極的に出てその差を埋めて行きたいと思えました。

パワーリフティングとの大きな違い

今回JCBへ出場して、パワーリフティングの試合と大きく違うと感じた点は試合展開を読む力と駆け引きの重要性です。

どういう事かというと、パワーリフティングの場合は3種目合計9試技行いますが、シングルベンチプレスの場合は3試技で勝敗が決まります。

パワーリフティング競技者であれば特に分かるかと思いますが、各種目で取りこぼしをせずに如何に成功試技を重ねる事が出来るかが、勝つ為に大切になってきます。
その為に、大きな博打の様な重量申請や第1、2試技で大きく攻めた重量申請はあまり行われません。

しかし、今回のJCBでは第2試技に勝負を考えての攻めた申請が多くある事を感じました。

第2試技の成功失敗で、第3試技の試技順やマークしている選手の申請重量に後出しをできるかなどが決まるので、かなり考えて申請をしないといけないのです。

勝敗が決まる第3試技では、各選手がギリギリの重量申請をしていました。
特に、成功試技の重量が同じである場合、検量体重が軽い方が勝者となる事や申請重量が同重量の場合はLotナンバーが若い順に試技をするというルールがあるので、それを理解した上でマークしている選手と同重量を申請し、試技の行方を伺うという戦略もあったりと目まぐるしく重量変更や被せ合いが展開されており、ルールをしっかりと把握しておく事や様々な展開を見据えた重量申請の戦略プランを立てておく事、セコンド力などの事前の準備やサポートの大切さを感じる事が出来ました。

パワーリフティングの場合は、最終種目のデッドリフトで同様の動きがありますが、あまり多く見た事はありません。デッドリフト前のスクワットやベンチプレスで、もっとシビアにそして戦略的に重量の選択をしていく事で、試合を有利に進められる様になると感じる事が出来ました。

パワーリフターがシングルベンチプレス大会へ出るメリット

今回のJCBへの出場を機に、今後は積極的にシングルベンチプレスの大会にも出場しようと思っています。

パワーリフターがシングルベンチプレスの試合に出場するメリットとして、ベンチプレスの強化に繋がって来る事、次に重量申請に対してよりシビアになり接戦時にも適切な重量申請や戦略が取れる様になると考えています。

そして、ベンチプレスを苦手にしているパワーリフターは私以外にも多くいると思いますので、積極的にシングルベンチプレスの試合に出て、試技や重量選択、フォーム、練習内容など、他の選手との交流から様々な情報交換をしていく事は強くなる為にはとても有効になると思います。

私も今回試合を通して多くの選手と交流した経験を、3月に愛知県岡崎市で行われるジャパンクラシックパワーリフティング選手権大会に生かして好成績を残せる様に頑張りたいと思っております。


▲SBDアスリートの渋谷選手(中央)、鈴木選手(右)


▲SBDコラムニストの佐名木さん(中央)、120kg級2位の小原選手(右から2人目)

まとめ

いかがだったでしょうか?

初めてのJCBの舞台は、普段のパワーリフティング会場とは違った雰囲気でとても沢山の学びを得る事が出来ました。この記事を読んだパワーリフターの方は、ぜひ一度シングルベンチプレスの大会へ出場される事をおすすめします。

今回の記事が、少しでもお役に立てれば幸いです。

最後までお読み頂きましてありがとうございました。
次回もよろしくお願い致します。

文:栗原 弘教

 
 
お知らせ
Master Mindではパワーリフティング競技に興味がある方や、BIG3の使用重量を伸ばして行きたい方、身体のコンディションを向上させたい方のご体験ご入会、施設利用をお待ちしております。ビジターパーソナルトレーニングも可能です。

お問合せは下記のHPよりお願い致します。
Training-studio“Master Mind”
________________________________________

Master Mindではハイローラーやストレッチロールなどのリリース系ツール、チューブやバンドなどを使用した目的別、使用方法セミナーやコンディショニングレッスン、グループパーソナルなども行なっています。

ブログやLINE@、SNSなどで開催情報は配信予定なので、気になる方はぜひフォローや友達登録をお願い致します。(下部にURLなどが記載して有ります。)
________________________________________

note有料記事も執筆を開始しているので、より深くトレーニングや身体の事を知りたい方、スクワット、ベンチプレス、デッドリフトの記録を伸ばしたい方はぜひご購読ください。
◉高重量を扱う為、競技スポーツに役立つ肩甲帯コンディショニング方法- Mobilityドリル編
◉高重量を扱う為、競技スポーツの為に役立つ肩甲帯コンディショニング方法 -ケア編-
◉高重量スクワットの為に必要な踏み圧、床反力を得る為に重要になる臀部、足部のコンディショニング方法
◉高重量スクワットで担ぎを安定させる方法と、その為に重要となる部位の補助エクササイズ
________________________________________

Training-studio“Master Mind”
Twitter:@kuririn_h
instagram:hirokurihara
instagram:mastermind2012ebisu
LINE@:@mastermind(ID検索から友達登録をお願いします。)

東京都 Training-studio“Master Mind”所属(https://mastermind85.com)
ベスト記録(ノーギア)
105kg級
スクワット  280kg
ベンチプレス 170kg
デッドリフト 260kg
トータル   710kg

シングルベンチプレス 170kg

戦績
ジャパンクラシックパワーリフティング大会 出場5回 最高5位
2017 東京都秋季パワーリフティング選手権大会 93kg級 3位
2018 東京都秋季パワーリフティング選手権大会 105kg級 優勝
   *スクワット265kg、トータル685kgの東京都記録樹立
2019 ジャパンクラシックパワーリフティング大会 105kg級 5位
2019 東京都春季パワーリフティング選手権大会 105kg級 3位
2019 いきいき茨城ゆめ国体 パワーリフティング 105kg級 4位

このエントリーをはてなブックマークに追加

関連する記事