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第1回世界ノーギアベンチプレス選手権 日本代表選手インタビュー

ノーギア日本一を決めるジャパンクラシックパワーリフティング・ベンチプレス選手権も終わり、5月の世界ノーギアベンチプレス選手権、6月には世界クラシックパワーリフティング選手権と、ノーギアパワーリフター・ベンチプレッサーにとって世界の頂点を決める大会が近づいてきました。

今月と来月の私のコラムでは、二ヶ月連続で世界大会に挑むノーギアの日本代表選手、それも今月はシングルベンチプレス部門、来月は三種パワーリフティング部門で世界大会に出場する選手にインタビューを行っていきたいと思います。

※本コラムは下記URLのノミネーション情報を元に執筆されています。
GoodLift ノミネーション情報
本コラム掲載時点で日本選手団の発表がされていない場合、本コラム掲載より後に発表される日本選手団と構成メンバーが異なる場合は記事内容の挿し替え・修正を行います。

 【中量級期待の新星 信田泰宏選手!】

新しい力が次々と台頭するノーギアパワーリフティング、その中でもここ数年中量級で一気に存在感を増しているのが東京都の信田選手(男子83kg級)です。

2013年のパワーリフティングデビューから快進撃を続ける信田選手は、今年2月のジャパンクラシックパワーリフティング選手権で準優勝、3月のジャパンクラシックベンチプレス選手権では見事初優勝を遂げ、僅か2年半のパワーリフティング歴で第一回世界ノーギアベンチプレス選手権への出場権を獲得しました。

今回のコラムではインタビュー企画第一弾としてその新鋭信田選手に協力して頂ける事となりましたので、パワーを始めたきっかけや世界大会に向けた意気込み、更には練習メニューやその強さの秘訣まで踏み込んで質問していきたいと考えています!

写真1

信田泰宏選手データ
年齢  27歳
身長  174cm
普段の体重  85 ~ 95㎏

戦績(全てノーギア)

2013
10/19  関東ベンチプレス選手権男子一般83㎏級優勝(170㎏)
11/4  東京都秋季パワーリフティング選手権男子一般83㎏級優勝(520㎏)

2014
2/23  ジャパンクラシックベンチプレス選手権男子一般83㎏級3位(180㎏)
4/14  東京都春季ベンチプレス選手権男子一般83kg級優勝(180㎏)
12/9  アジアオセアニアクラシックベンチプレス選手権男子一般83㎏級優勝(183kg)

2015
2/22  ジャパンクラシックベンチプレス選手権男子一般83㎏級3位(192.5㎏)
3/7  ジャパンクラシックパワーリフティング選手権男子一般83㎏級6位(610㎏)

2016
2/28  ジャパンクラシックパワーリフティング選手権男子一般83㎏級2位(645㎏)
3/13  ジャパンクラシックベンチプレス選手権男子一般83㎏級優勝(190㎏)

公式戦ベスト記録
男子ノーギア  83kg級

スクワット  230kg
ベンチプレス  195kg
デッドリフト  220㎏

トータル645kg

練習でのベスト重量

スクワット  250㎏
ベンチプレス  205㎏
デッドリフト  250㎏(ストラップあり)

【信田選手インタビュー】

―信田さんこんにちは、本日はお忙しい中ご協力ありがとうございます、よろしくお願いします!

こちらこそありがとうございます!いつも読んで勉強させていただいているSBDコラムに取り上げていただけて光栄です!
―まず過去のスポーツ歴とパワーリフティング歴を教えて頂いてもよろしいでしょうか?

小学3年~大学4年までの14年ほどラグビーをしていました。

パワーリフティング歴はちょうど2年半ぐらいになります。
―やはり元々筋力や強かったり瞬発力が優れていたりしたのですか?

足は速い方だったと思います。

ラグビーをやっていた時のポジションはウイングというポジションでチームでも一番足が速い人がなるポジションでした。

小学生のころは走り幅跳びで市の陸上大会で優勝したり、中高のころは陸上部の代わりに陸上大会で100mを走らされたりしていました。

なので、瞬発力はある方だったのかな?と思います。

 

―パワーリフティングという競技に出会ったきっかけは?

通っていたスポーツクラブでベンチプレス大会をやっていて、それに出場したのがきっかけです。

その大会にベンチプレッサーの方々(松永選手、中村選手)が出ていて、その場で競技に誘っていただきました。

ラグビーをやっていたのでウエイトトレーニングには慣れ親しんでいたのですが、ベンチプレスやBIG3を競い合う競技があることは知りませんでした。

元々ベンチプレスは得意だったので、これは面白そうだな!と思って挑戦してみようと決意しました。
―今年は2月28日のジャパンクラシックパワーで準優勝、そして3月13日のジャパンクラシックベンチでは見事優勝されました。
この2試合についての感想があればお聞かせ下さい。

正直、「悔しい」の一言に尽きます。

自分は今まで試合でベストが出せなかったことがほとんどなかったのですが、今年は出場したこの2試合でどちらも満足いく記録を残せませんでした。

初めて調整の難しさを痛感させられました。

しかし、順位については満足しています。

競技を始めた当初に長期の目標を設定していました。

それは「3回目のジャパンクラシックで優勝する」というものでした。

なので、今年はジャパンクラシックパワーは表彰台(2回目)、ジャパンクラシックベンチは優勝(3回目)が目標でした。

どんな形であれこの目標を達成できたことは嬉しく思っています。
―連戦でコンディションの維持等大変だったのではないですか?

昨年、ジャパンクラシックベンチからのジャパンクラシックパワーを経験していたので、それほど気にしてはいなかったのですが、実際はとても大変でした。

今年は昨年とは逆のパワーからのベンチだったわけですが、パワーが終わった後に腰を怪我して動けなくなったり、今までで初めてベンチのピークアウトを経験したりとうまくコンディションを維持することが出来ませんでした。

しかしこの経験から多くのことを学べたので次につなげていきたいと考えています。
―6月に開催される第一回世界ノーギアベンチプレス選手権(World RAW Bench Press Championships)では初の世界大会出場となりますが、目標や意気込みがあれば聞かせて下さい!

ノミネーションを見てみると1位の選手の記録が205㎏でした。

練習での試合形式のベストが205㎏なので、しっかりとピークを合せて勝負が出来たらと思います。

また設定されている世界記録が210㎏なので調子次第ではそこも狙っていきたいと考えています。

日本代表としての誇りをもって試合に臨みます。
―試合会場のある南アフリカ共和国の都市ポチェフストルームまでは長旅になりますが、コンディション面で特に気をつけようと考えている事はありますか?

すべての準備を早めにしていこうと考えています。

体重なども余裕をもって臨めるようにしたいですね。

あとは飛行機での水分の摂り方や食事、過ごし方もいろいろと工夫しようと思っています。
―信田さんはベンチプレスを最も得意種目とし三種パワーリフティングでも素晴らしい記録を出していますが、信田さん自身の意識としては、ベンチプレスの強いパワーリフターでしょうか?それともパワーリフティングの強いベンチプレッサーでしょうか?

私個人の意識としては「パワーリフティングの強いベンチプレッサー」ですね。

競技にはベンチプレスから入っているのでそういう意識も強いんだと思います。

それにスクワットもデッドリフトもまだまだ弱いという意識が強いです。

なので、この二つがしっかり強くなればこの辺の意識も変わってくるのかな?と思います。
―信田さんは83kg級の選手としては長身な事やオフの体重を考えると93kg級でもいいと思うのですが、83kg級にこだわる理由みたいなものはあるのでしょうか?

先ほど競技を始めた時の目標が「3回のジャパンクラシックで日本一になる。」という話がありましたが、これには「83㎏級で」というのがついているんです。

なので、オフの体重なども含めて自分なりに考えた83㎏級で勝つための作戦だったりします。

あと、夏は毎年減量をしていて74㎏ぐらいまで落としたりしています。

そこから10㎏の増量での83㎏なので体型維持の面も含めて、83㎏あたりがちょうどいいという意識もありますね。(笑)
―ここからは普段のトレーニングについて質問させてもらおうと思います。

各種目はどういったトレーニングメニューで練習をしていますか?

(各種目の練習頻度、特定のプログラムやサイクルは組むか?、セット数は?、補助種目は?)

今年はそれぞれの練習頻度はベンチプレスは週5~7、スクワットは週3~5、デッドは週1でした。

ベンチプレスはメインセットが6レップと3レップのメニューを持っていて、それを時期によって使い分けています。

重量設定はある程度余裕をもった設定にして多セットで行っています。

ただ、今はもう少し変化を付けた練習にも取り組んでいてこれがどのような変化をもたらすのか楽しみにしているところです。

スクワットは5x5routineと40セットのメニューを高頻度(週3~5)で行っていました。

なので週の半分以上の練習はスクワットとベンチプレスをしていたことになりますね。だいたいスクワット1時間、ベンチ1時間でした。

デッドリフトは1,3,5,7を行っていました。(数字はレップ数)

トップまで持って行ったあと、重量を落としながらレップを重ねていくやり方ですね。

ただデッドに関してはまだまだ改善しなければいけないので、この練習法も含めていろいろ見直していこうと思います。
―食事やサプリメントで気をつけている点、重視している点はありますか?

 まずは健康で元気に日々を過ごせるように三大栄養素、五大栄養素、七大栄養素の摂取量やバランス、摂取タイミング等は気を付けています。

食事からでは足りないもの、なるべく多く摂っておきたいものはサプリメントで積極的に補っています。

カラダをハードに鍛えている人、アスリートは免疫機能の関係で体調を崩しやすかったりしますが、体調を崩してしまったらその期間練習できません。

そういうことがないように、また毎回の練習を100%に近い状態でできるように栄養素の摂取を心掛けています。

あとはクレアチンなどのエルゴジェニックエイドも体感があるもの、効果があると報告のあるものなども摂ったりしていますね。
―元々強かったベンチプレスに加えてこの一年はスクワットの大幅な強化に成功していますが、どういった練習が記録の向上に繋がったと感じましたか?

スクワットはとにかく高頻度の練習がはまってくれたと思います。

週3~5はスクワットをしていましたから。練習メニューでは5x5routineがはまってくれましたね。

あともう一つは、友人にウエイトリフターがいるのですが、その友人に教えてもらったトータル40セットを全てレスト1分で、それを週3回行うというメニューも自分のスクワットを伸ばしてくれたと思います。

これは慣れるまではほんとにきつかったです(笑)
―信田さんはボディビルやフィジーク、ウェイトリフティングといった他競技のトップ選手達とも積極的に交流を持っていますが、そういった選手達との交流では特にどんなメリットがあると感じますか?

私はボディビルにもフィジークにも挑戦したことがあるのですが、その時にこれらの競技の難しさ、大変さを痛感しました。

 その競技で、ましてや同世代が活躍しているのを近くで見るのは、ほんとに刺激になります。

 特にボディビルの及川選手、フィジークの横川選手。

この二人には負けてられないな!といつも思わされています。

また彼らの努力の量と質がとんでもないんことに気づかされます。

人体への理解も深いので、話していて参考になることも多いんです。

本当に勉強になります。

 またウエイトリフティングの安江選手からはウエイトリフターの練習を教えてもらったり、一緒に練習してスクワットを目の前で見せてもらったりしていました。

 ウエイトリフターがスクワットが強いのは承知の上だと思いますが、とにかく練習がハードなんです。

 いや、えぐいです(笑)これにはほんとにびっくりさせられました。

彼らのような他競技のトップ選手と交流することで学び得られたことをパワーリフティングに活かすことで毎年成長できているのかなと思いますし、逆に自分が彼らにそのような影響を与えられる選手でいたい、という思いが自分を強くしてくれているのだと思います。

―ライバルと思っている選手や、目標とする選手はいますか?(他競技や海外の選手でもOKです!)

目標はやはり83㎏級世界チャンピオンのブレットギブス選手です!3種すべてがバランスよく強くてかっこいいですし、憧れます。

彼の動画はほんとによく見ています。

ライバルと思っている選手はやはり福島選手と横田選手ですね。

お二人とも私が競技を始めた時にチャンピオンで、それからずっと目標でありライバルとして意識している選手です。あとはお二人とも年齢が近いのも意識している要因ですね(笑)
―信田さんにとってのパワーリフティングの魅力とは?

今まで扱えることが出来なかった重量が扱えるようになることですね。

自分はどこまで強くなれるのだろう?と考えれば胸が弾みますし、どうすればもっと強くなれるのだろう?と日々考えながら練習するのはすごく楽しいです。

 その練習の成果が試合で出た時はとても嬉しいですね。

 あとは、絶対基準の競技なので勝敗がはっきりしていること、世界のトップ選手と自分自身の距離が正確にわかることも魅力だと思います。
―今日はありがとうございました、世界ノーギアベンチプレス選手権での活躍期待しています!

 ありがとうございます!!初代チャンピオン目指してしっかり頑張ってきます!!!

  【世界ノーギアベンチプレス選手権に向けた信田選手練習動画】

ベンチプレス200kg

 

 

ベンチプレス207.5kg

 

 

ブロックベンチプレス200kg3回

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信田選手この度はインタビューにご協力本当にありがとうございました。

信田選手のトレーニング理論や栄養に関する考え方、それに他スポーツのアスリートからも積極的に学ぼうとする姿勢は、お話を聞いていても私自身見習うべき点が非常に多いと感じました。

信田選手の出場する第一回世界ノーギアベンチプレス選手権は来月5月15日〜5月21日に開催され、他にも多数の日本人選手が出場予定です。

エントリーと生中継動画はこちらのサイトからご覧頂けます!

エントリー

男子ノミネーション

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生中継動画配信ページ

 

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■コラム執筆者

神野亮司
愛知県 MBC POWER所属 ( http://mbcpower.web.fc2.com/ )
ベスト記録(ノーギア)
・93kg級
スクワット240kg
ベンチプレス165kg
デッドリフト267.5kg
トータル662.5kg
・83kg級
スクワット212.5kg
ベンチプレス157.5kg
デッドリフト255kg
トータル612.5kg
実績
ジャパンクラシックパワー(旧ジャパンオープンパワー)出場10回、最高2位
2012年アジアクラシックパワー男子一般83kg級2位
2014年世界クラシックパワー男子一般83kg級11位

 

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